新生なでしこジャパンはオランダにいる。池田太監督になって初めての海外遠征で、アイスランド、オランダと戦う2連戦だ。東京オリンピックでメンバー入りを逃した猶本光にとっては、新たな地位を築くチャンス。いまの自分を最大限見せるつもりだ。

上写真=猶本光は「まずはしっかり中盤の守備で勝つことを意識してやりたい」と2試合に臨む(写真◎スクリーンショット)

「トライしてみて見えてくるものがある」

 晴れの舞台、東京オリンピックに、その姿はなかった。猶本光はだから、この再スタートを大事にしている。新しい指揮官・池田太監督によって導かれる新生なでしこジャパンの一員として、オランダ遠征に加わった。

「10月のキャンプとここ(オランダ)で練習してミーティングもあって、チームとしてどういうものを目指すかということは落とし込まれていると思います」

 その上で求めるテーマは「表現する」だ。

「試合で実際にトライしてみて見えてくるものがあると思います。チームとして目指すサッカーを表現することで、(1月の)アジアカップにつながってくるのではないかと思っています」

 猶本自身はボランチでのプレーを想定している。所属の三菱重工浦和レッズレディースではよりFWに近いところでも躍動しているが、その両方の視点を生かすチャンス。

「チームのやり方をまず落とし込んでこの10、11月とやってきて、それを初めてトライする国際試合になるので、そこをしっかり意識しつつ、ゴール前に行ったときにはレッズで前めのプレーをやらせてもらっているので、その部分を出していきたいと思います」

 WEリーグでは9試合で1得点。さらに積極的に攻撃に関与していく意欲を、ボランチらしい目で操っていく。

「実際にやってみないと、流れもあるのでまだ難しい感じもありますけど、チームの流れをつかめたら絡んでいけると思います」

 闇雲に攻めるのではなく、味方を、敵を見ながら攻めていく。そこに信頼できる「絵」があるからこそだ。

「チームとしてペナルティーエリアへの進入の回数を増やすこと、進入してゴールを狙うことで得点になる確率が高くなります。そのための共通理解は、ミーティングや練習で落とし込まれています。それぞれが、その場所に行ったときに同じ絵を描いていければ」

 もちろん「単純に球際で勝つこともそうですし、スライドしてセカンドボールを拾ったり、相手のフォワードにボールが入ったときにプレスバックしたりすることは、いつもよりも多くなってくると思います」と本分は忘れない。

 プレーエリアもプレーの種類も幅広くこなす「センターハーフ」として、なでしこジャパンでの新しい地位を築いていく。