上写真=今夜、なでしこジャパンはスウェーデンと準々決勝を戦う(写真◎Getty Images)
必ずチャンスが巡って来る(熊谷紗希)
1次ラウンド最終戦、チリ戦はなでしこにとって薄氷を踏む勝利だった。攻めども攻めどもネットは揺れず、逆に相手の攻めをやり過ごすチリはリズムをつかんでいく。勝たなければ地力で準々決勝進出できない日本は焦りを募らせる展開になった。
「勝ち点3がなんとしても欲しい、絶対に勝たなければいけない試合だと理解してゲームに入りました。序盤からいい形ができていましたが、チリは体を張った素晴らしい守備をするチームだったので、なかなかゴールをこじ開けることができませんでした」
苦しいゲームだったことは試合後の高倉麻子監督の言葉からも分かる。77分に途中出場の田中美南がネットを揺らし、何とかネクストステージの扉を開いたが、その戦いぶりを不安視する向きは多い。その上、準々決勝で日本の相手として待っていたのはスウェーデン(FIFAランキング5位)。今大会は絶好調で、初戦で世界ランキング1位のアメリカの不敗記録を止めたチームだ。金メダルの有力候補と目されている。
「(チリ戦で)焦らず、我慢強く戦いながら1点をなんとかもぎ取って勝利できたのは、選手たちの頑張りです。ここからはノックアウトステージになりますし、対戦相手のスウェーデンは予選リーグの試合を見ても、一番調子がいいチームです。一発勝負なので、戦い方をしっかり選手と共有して、何かを起こしたいと思います」
1発勝負のノックアウトステージになれば、『その時』に強いチームが勝つ。そもそもメダルを目指す以上、FIFAランキング10位の日本はどこかで格上チームに勝たねばならない。まずはその機会が準々決勝で訪れたということ。
「自分たちの力で予選を突破できて本当に良かったですし、ここからはどことやっても厳しい戦いになると思います。スウェーデンは前線に強力な選手もいるので、どう守っていくのか作戦を立てます。一発勝負で私たちにも必ずチャンスは巡って来るだろうし、最大限の良い準備をして、粘り強く戦いたいと思います」
キャプテンの熊谷紗希も「一発勝負」であること、そして「必ずチャンスが巡って来る」とスウェーデン戦を展望する。おそらく守備の時間が長くなると予想されるが、その点も想定済み。「自分たち守備陣が耐える時間は多くなる試合になるかもしれませんが、カナダ戦、イギリス戦でできなかったことをしっかりと修正して、失点をゼロで押さえて、チャンスを呼び込んで勝利を狙いたい」。
ノックアウトラウンドで重要なのは、まずは守備。攻撃力の高いスウェーデンをストップして、好機を待ちたいところ。
キックオフは今夜19時。場所は埼玉スタジアム2002。なでしこジャパンが、運命の一戦に臨む。