上写真=中川敦瑛が決勝の舞台で「ゴールに絡む活躍をしたい」と目を輝かせる(写真◎J.LEAGUE)
「パスだけになるのでなくて」
「そこまでは緊張はしてないですね。それより、やっぱり楽しみなワクワク感っていうのが大きいので。いま(前日練習で)ピッチに立ってみて、このスタジアムが6万人収容だというのを想像すると、試合になったら少し緊張するのかもしれないけれど、まずはチームのためにプレーしたいなと思っています」
柏レイソルのルーキー、中川敦瑛が決勝への興奮を隠さない。だが、浮き足立っているわけではない。
今季途中からボランチのポジションをつかむと、いまや欠かすことのできない存在感を示している。元来のテクニック、戦術眼、そして意外性が、リカルド・ロドリゲス監督が掲げる攻撃的なフットボールの中でのびのびと育まれてきた。
だから、サンフレッチェ広島が相手の決勝でも、そのスタイルに絶対的な自信を持って臨むことができる。
「相手はおそらくマンツーマンで守ってくると思います。早い時間帯で失点してしまうと、どうしても難しい流れになってしまう。まずは前半は失点ゼロで帰ってくるのがすごい大事になってきます」
川崎フロンターレとの準決勝では第1戦に中川は出場しなかったが、守備を崩されて1-3で敗れ、難しい展開に持ち込まれてしまった反省がある。
だが、第2戦で復帰すると、4-1という華々しい逆転劇で決勝進出を決めた。そこで見せた攻撃力こそが決勝の最大の武器になるのは間違いない。
「攻撃面ではいつも通り自分たちでボールを保持して、流動的にポゼッションしていく戦いが出せれば、広島相手でも通用すると思います。まずは全員がビビらず、しっかりボールを受けることを意識していきたい」
流動的なポゼッションは、まさに中川のスタイルに絶妙にフィットする戦い方だ。だから、前半に失点しなければ、相手のほうが先に焦りを見せると踏んでいる。これまでの戦いから、そんな経験を何度もしてきた。
「0-0で進んでいけばいくほど、相手に疲労も出てきて自分たちにチャンスは生まれてきます。だから、焦らずにしっかり自分たちのサッカーをできればいい」
そしてもう一つ、パスに頼りすぎないというテーマを掲げる。今季は高度な連係を駆使してパスが面白いようにつながるから、優先的にパスを選んでしまうことで逆に停滞を招くシーンもあった。
「相手がマンツーマンで守りにくる分、スペースは広大に空いている。そこでパスだけになるのでなくて、自分で少しボールキープして動かしたり、ターンして前を向いたりというところがすごく大事になってくる。ホームの広島戦でもそういったところを出していたので、あとは最後の質。明日はそこを意識しながら、ゴールに絡む活躍がしたい」
そうやって、最高のワクワクを柏のファン・サポーターに届けるつもりだ。