上写真＝リカルド・ロドリゲス監督に祝福される細谷真大。圧巻の2ゴールだった（写真◎J.LEAGUE）
■2025年10月12日 ルヴァン杯準決勝第2戦（観衆：14,093人@三協F柏）
柏 4-1 川崎F
得点：（柏）垣田裕暉、仲間隼斗、細谷真大2
（川）脇坂泰斗
振り抜いたほうがいいかなと
「今日は自分の日だな」
細谷真大はそう信じてピッチに足を踏み入れた。
「負けている状況だったので、前の選手が主役になる日だと思っていました」
川崎フロンターレとの準決勝第1戦では1-3で敗れている。さらにこの第2戦でも、開始早々の4分に脇坂泰斗に先制ゴールを許した。26分に垣田裕暉が決めて同点としたものの、2試合合計のビハインドはまだ2点。大きな差にも見えたが、背番号9は意気込んだ。
後半開始から投入したリカルド・ロドリゲス監督の「スピード、パワー、そしてゴールを期待して投入しました」という説明を待たずとも、「細谷効果」は明白だ。
まずはスピード。中盤からパスを引き出して一瞬で抜け出そうとしたところで、フィリップ・ウレモヴィッチのファウルを誘って、56分に退場に追い込んだ。
川崎Fはこの直後にメンバーを代えて5バックにして、柏の攻撃を封じようとしたが、やすやすと崩した。
「スペースはなかったりするけれど、回していく中でスキはいくつかあったんで」
今年のチームが繰り返してきたパスワークで穴を見つけ、こじ開け、シュートを狙っていくスタイルへの自信は揺るぎない。まずそれが実ったのは、73分だ。仲間隼斗がゴール右下に蹴り込んで、1点差。ますますスタジアムの盛り上がりが選手たちを後押しする。
そして、ここからは細谷劇場。リカルド・ロドリゲス監督の言う「パワー」が炸裂する。
73分、今度は左のポケットに潜り込んだ仲間が中央へ送ると、細谷がヘッドで力強くたたき込んだ。
「高すぎず低すぎずいいボールが来ました」
「ディフェンスラインとうまく駆け引きできたので、相手の前に入って当てられたと思います」
これで2試合合計でスコアをイーブンにした。だが、勢いは止まらない。またも仲間と細谷のコンビだ。
90＋2分、左で細かくボールを動かしてから仲間がループパスをペナルティーエリアの中へ、細谷は佐々木旭を背中でブロックしながら胸で収めると、倒れ込みながらも振り向きざまに右足で突き刺して、ついに4点目を決めて逆転だ。
「うまくいいところにいけたので、射抜くだけでした。胸トラップでうまく収められたので、もう少し運んでもと思いましたけど、振り抜いたほうがいいかなと」
リカルド・ロドリゲス監督も鼻高々だ。
「今日は真大が素晴らしい活躍をしてくれました。戦術的なゲームプランにおいて垣田をスタメンで起用することが多いですけれども、それは試合終盤、強度が落ち、相手が間延びしたところでのほうが真大が活躍できると思っているので、彼をベンチスタートにして後半投入するという形を採用しています」
その戦略がおもしろいようにはまったのだ。リーグ戦では31試合に出場して先発は11試合、1113分とプレー時間が短いが、7ゴールはチームトップ。その嗅覚を存分に生かしている。
「決勝に連れていくだけではなくて、自分が点を取って優勝したいと思います」
細谷真大、堂々のゴール＆優勝宣言もパワフルである。