上写真＝90＋2分、細谷真大が倒れ込みながら突き刺して、大逆転！（写真◎J.LEAGUE）
■2025年10月12日 ルヴァン杯準決勝第2戦（観衆：14,093人@三協F柏）
柏 4-1 川崎F
得点：（柏）垣田裕暉、仲間隼斗、細谷真大2
（川）脇坂泰斗
※1勝1敗、2試合合計5-4で柏が決勝進出
川崎Fは早々に先制したが…
細谷真大が倒れ込みながらも右足で蹴り込んで4点目を奪うと、大興奮のスタジアムが揺れた。柏レイソルが3点差をひっくり返す大逆転劇で決勝進出！ リカルド・ロドリゲス監督は「歴史的勝利で、多くの人の記憶に残る素晴らしい勝利」と胸を張った。
川崎フロンターレ3-1柏。第1戦の結果を受けて、柏にはゴールが必要だった。2点差を逆転するためにキックオフから相手ゴールに襲いかかる……はずが、川崎Fが先に攻めに出た。そして、幸先よくゴールを挙げるのである。
4分、右から伊藤達哉が相手のタイミングをずらす巧みな突破から折り返すと、こぼれたところを脇坂泰斗が右足をコンパクトに振って、強烈なシュートをゴールにたたき込んだ。
3点差。柏はこれをひっくり返さなければならない。攻めるしかなく、だから徹底的に攻めた。
中盤は戸嶋祥郎を中央に構えさせ、右に小泉佳穂、左に中川敦瑛、中央に小屋松知哉をダイヤモンド型に並べる超攻撃スタイル。右で山之内佑成、左でジエゴが幅を取り、最前線には垣田裕暉。あらゆる場所から川崎Fの守備を破壊しにかかり、ついに実ったのは26分だ。ショートカウンターから山ノ内が右を突破、折り返しに垣田がニアで合わせて同点に追いついた。だが、この後はジエゴや中川がチャンスをものにできず、2点差は変わらない。
そこでリカルド・ロドリゲス監督は第1戦に続いて、後半開始から3人を入れ替えた。3バックの真ん中に古賀太陽、右に原田亘と負傷から戻ってきた2人を据え、最前線には細谷。
さらに56分には川崎Fのフィリップ・ウレモヴィッチが細谷を倒して退場処分。柏が数的優位を得て、ますます攻勢に出る。
川崎Fも即座に対応を図った。ウレモヴィッチの退場直後に両ウイングの伊藤達哉とマルシーニョに代えて、若いDF土屋櫂大と神橋良汰を投入して3バックにシステムを変更し、佐々木旭を中央に、右に土屋、左に神橋で構えた。
それでもなお、柏の攻撃の威力が勝った。
73分、交代で入ったばかりの仲間隼斗がゴール右に潜り込み、左足でゴール右下を射抜いて1点差。その4分後、今度は左を攻略し、ポケットに入った仲間が折り返すと、細谷がヘッドでたたき込んだ。
すると、このコンビがまたもや輝いた。90＋2分、左で受けた仲間がループパス、ペナルティーエリアの中で細谷が相手を背負いながら胸で止め、倒れながらも振り向きざまに右足で蹴り込んで、ついに4点目。勝利をもぎ取る一発を生み出して、2試合合計で大逆転に成功した。
興奮が最高潮を迎えたスタジアムに試合終了のホイッスルが鳴ったのは、アディショナルタイムも13分ほどを過ぎてから。攻めに攻めた柏が、鮮やかな逆転勝利で決勝進出を決めてみせた。
「試合が始まる前に逆転勝利、決勝進出を信じて疑いませんでした。失点する可能性もあると予想していて、失点したとしてもあきらめることなく逆転を目指そうと選手を送り出しました。最初に失点してしまったけれど、誰も何もあきらめることなく逆転を信じてプレーしてくれました」
リカルド・ロドリゲス監督は饒舌だった。
一方で、勝ちきれなかった川崎Fの長谷部茂利監督は静かに振り返る。「人数が少なくなったところで止めるのは難しかったです。最後の最後に抑えることができませんでした」と、改めて退場を悔やんだ。
なお、もう一方の準決勝ではサンフレッチェ広島が横浜FCを2-1で下して2勝し、勝ち抜き。決勝は11月1日13時5分から国立競技場で、柏と広島が激突することになった。柏は2013年以来3度目の、広島は2022年以来2度目の優勝を狙う。33チーム目のウィナーはどちらに？