JリーグYBCルヴァンカップ決勝が明日、東京・国立競技場で開催される(13時5分開始)。名古屋グランパスのDF徳元悠平が前日練習を終え、取材に応じた。今夏、FC東京から加入した左サイドのスペシャリストは優勝への強い思いを語った。

上写真=国立競技場で前日練習を行った徳元悠平(写真◎J.LEAGUE)

健太さんのプレッシャーの方が緊張する(笑)

 この夏、名古屋に期限付き移籍で加わった徳元悠平にとって国立競技場は験の良い場所だ。

 2023年5月12日、FC東京の選手として臨んだ多摩川クラシコ(対川崎フロンターレ)でJ1初ゴールを決めている。

 長友佑都が右サイドから送ったクロスは左サイドまで流れたが、徳元が拾ってボックス左横から進入。対峙する相手を交わして右足を振り抜き、逆サイドのネットにボールを突き刺した。「国立ですし、シュートを打とうという気持ちだけで振り抜きました」と試合後には語っていた。

 ルヴァンカップ決勝を翌日に控えて行われた前日練習を終え、取材に応じた徳元は改めて「本当、自分にとってはすごく良い思い出のあるグラウンド」と「国立競技場」について言及。さらに、自らのキャリアを振り返り、カップファイナルというシチュエーションに立つ意義についても熱い思いを口にした。

「決勝戦は人生に何回もあるようなものではないと思うし、本当にJ3、J2でやってきたんだぞっていうこともあって、今、(そのカテゴリーに)いる選手たちにも勇気や希望を与えることは、僕じゃないとできないと思う。そこは胸張って、ピッチに立ちたいと思います」

 城西国際大から2018年に当時J3だったFC琉球に加入。1年でJ2昇格を経験すると、20年にJ2岡山に移籍し、23年にJ1のFC東京にたどり着いた。徳元は所属するカテゴリーでしっかり力を示し、一つ一つ階段を登ってきた自負がある。

 東京時代の1年半はその能力のすべてを発揮したとは言い難いが、今夏、名古屋に加わると、左ウイングバックで定位置をつかみ、ここまでリーグ戦5試合に先発(途中出場2試合)。ルヴァンカップでも準々決勝、準決勝の4試合中3試合で先発し、決勝進出に大きく貢献した。

 今季、FC東京の選手としてルヴァンカップの1stラウンドやプレーオフに出場していたこともあり、名古屋への移籍が決まった直後は「東京で試合に出てしまったので、勝手に出られないと思っていた」。しかし、「ステージが変わると出られるよと聞いて、うれしかったというか、まだ1個、気持ちが入りました。去年だったり一昨年だったり、学生時代も見ていたこの舞台に立てるのがすごく楽しみでうれしい」という。

 一方で、「1回戦、2回戦、3回戦と、今回メンバーに入っていない人たちが(決勝進出を)勝ち取ってきたというのもあるんで、そういう選手たちのためにも、感謝の気持ちを込めて、プレーしたいと思います」と仲間の思いを背負い、勝利への強い意欲も持つ。

 明日は、あいにくの雨予報だが、「雨と言ってもセットプレーは関係ないと思うんで、そういうシーンがあったら自信を持って蹴りたいと思いますし、準決勝のいいイメージってのもあるので」と問題ないときっぱり。「(長谷川)健太さんのプレッシャーの方が、緊張すると自分で言い聞かせてるんで(笑)。(プレッシャーがあった?)いや、『思い切り蹴れよ』っていうのがありましたし、間違ったら『おお、そこなの?』って言われることもあって。本当に、いい意味でコミュニケーションが取れています」と、自分のキックでチームを勝利に導きたいと話した。

 勝てば名古屋は3年ぶり2度目の戴冠となる。徳元は、得意の左足キックでチームに聖杯をもたらすイメージを膨らませていた。