上写真＝岡崎慎は今季公式戦2試合目の先発で、結果を残してみせた（写真◎J.LEAGUE）
■2021年3月28日 JリーグYBCルヴァンカップ第2節（＠味スタ／観衆：6,512人）
FC東京 2-0 神戸
得点：（F）ディエゴ・オリヴェイラ、三田啓貴
「ただただ、『ディエゴ、ナイス！』と」
「自分の良さを表現できる、最後の試合だと思っていました」
岡崎慎は強い危機感に背中を押されていた。同世代の渡辺剛と田川亨介がU-24日本代表に選ばれていて、活動を終えれば帰ってくる。そうすれば、ポジションは約束されない。
センターバックとして先発したルヴァンカップのこのヴィッセル神戸戦で爪痕を残さなければ、後がない。
11分だった。GK児玉剛から右で受けた岡崎が、相手の最終ラインの裏にすーっと抜けるような絶妙なパスを送った。スピードに乗って走り込んだのはディエゴ・オリヴェイラ。そのまま飛び出してきたGKを右にかわして、無人のゴールへと流し込んだ。
「ディエゴがずっと見えていたんですけど、あそこまできれいにいくとは思わなかったんです。ラッキーでした。本当にディエゴが抜け出してキーパーまで抜いてくれて」
だからうれしくて、思わずディエゴ・オリヴェイラのところに駆け寄っていった。
「あれが点になると思っていなかったので、ありがとうとしか思わなかったです。確かにディエゴを狙ったけど、ただただ『ディエゴ、ナイス！』と思って駆け寄っちゃいました」
そうやって照れ笑いだが、守備でもしっかりと神戸のアタックを止め続けて無失点の立役者になった。
「ダマさん（児玉）と、何とかゼロにつなげれば評価は上がるし、チームとして上向きの一歩になると練習から話していて、実際にゼロに抑えられました。前の選手もその思いを受けてプレスしてくれて無失点で勝って、いい試合でした」
そんな充実感は、長谷川健太監督も認めている。
「本来ならばレギュラーを張れる経験を積んできている選手です。キャンプ当初はコンディションが上がらない状況でしたが、ここ最近非常に上がってきて、（リーグ第5節の）湘南戦もいいプレーをしましたし、これから連戦が続くのでメンバーの一翼を担ってほしいと思っています」
これが最後の試合になることはなさそうだ。ここからが、本当の勝負！
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE