ベガルタ仙台のMF田中渉がルヴァンカップの浦和レッズ戦で2得点を挙げた。チームは5失点の大敗を喫したが、その名を大きくアピール。ニューヒーロー賞の対象となる高卒2年目の19歳は、さらなる飛躍を誓った。

上写真=浦和戦で2得点を挙げる活躍を見せた田中(写真◎J.LEAGUE)

■2020年2月16日 JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ第1節(埼玉スタジアム2002)
浦和 5-2 仙台
得点者:(浦)レオナルド2、杉本健勇2、マルティノス (仙)田中渉2

「自信を持ってプレーできた」

 浦和レッズに35分までに3失点を喫し、意気消沈するベガルタ仙台で一人、気を吐いた。41分、右サイドから地をはうようなミドルシュートが放たれる。埼玉スタジアムに得点者の名前が静かにアナウンスされた。

「背番号30、タナカ・ワタル(田中渉)」

 桐生一高(群馬)から昨季加入し、今季がプロ2年目の19歳。堂々と大仕事をやってのけた1分後、ゴール前のこぼれ球にいち早く反応したのは、またも背番号30だった。FWジャーメイン良の背後からすっと抜け出し、左足でゴールへ流し込んだ。

「1点目を取れてから、自信を持ってプレーできました。2点目のクロスに入っていく動きは、キャンプでも練習していた形。(得点のように)ジャ君(ジャーメイン良)がつぶれるパターンもありましたから」

 そう語る通り、練習のたまもの。ボールがこぼれてきた瞬間、ゴールを確信していた。プロ入り後、1試合2得点は初めて。昨季の公式戦成績は、リーグ戦は1試合のみで、ルヴァンカップは3試合で1ゴールだった。ルーキーイヤーはほとんど下積みで終わったが、2年目は飛躍を誓う。
 
「点を取れたことはうれしいです。これで自分もチームも波に乗っていきたい。昨季とは違う部分を見せて、結果を残します」

 ニューヒーロー賞の対象となるヤングスターは、自らのゴールを喜んでばかりではない。しっかりと課題も見つめていた。

「走力とフィジカルをもっと上げたい。守備の強度、ポジショニングも良くしないと」

 木山隆之監督は2得点を評価しつつ、「高めないといけないところはたくさんある」と成長を促したが、その伸びしろに期待していた。まだ表情にはあどけなさの残るシャイな技巧派レフティーが、杜の都を沸かせる日も、そう遠くはないかもしれない。

文◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE