後半の45分に5失点。ガンバ大阪戦のショッキング内容について、札幌の得点源は反省を口にした。特に1失点してからの振る舞いについて。「自分たちの中でバランスが崩れてしまった」。一方でルヴァンカップ準決勝に向けて早急に取り組むべき課題がはっきりしたのも確か。試合から5日後の10月9日、同じくG大阪のホームでの一戦に雪辱を期す。

上写真=クラブの初タイトル奪取に意欲を燃やす鈴木武蔵(写真◎J.LEAGUE)

■2019年10月4日 J1リーグ第28節
G大阪 5-0 札幌
得点者:(G)倉田秋、宇佐美貴史、アデミウソン、藤春廣輝、渡邉千真

自分たちで変えられる勇気と力が必要(鈴木)

 ショックが後を引きそうな大敗について聞かれると、鈴木はまず「もったいない」と言った。5点を奪われた後半に比べて、前半の内容に手応えを感じていたからだ。

 実際、チャナティップが試合前のアップの際にふくらはぎの痛みを訴えて急遽欠場となったことを差し引いても、代わりに先発した荒野拓馬が攻守に精力的に働き、開始45分は互角の勝負を演じたと言っていい。アデミウソンに突破を許してPKを献上したが、相手のミスキックにも助けられて事なきを得ると、札幌も23分の白井康介のシュートなど好機を何度か手にした。

 しかし前半の引き締まった内容から一転、後半に入るとメンバーチェンジと1つの失点によってチームはまるで別の顔を見せる。プレスがハマらずG大阪にいいようにボールをつながれ、バランスを崩した。カウンターアタックで倉田秋に決められて1失点を喫すると、守備を立て直すことができないままに失点を重ね、結局5度もネットを揺らされる羽目になった。

「後半に(宮澤)裕樹くんを下げて(アンデルソン・)ロペスに代わり、選手交代の中で普段やってない形でジェイが(守備の局面で)右サイドをやった。そういうのでちょっとバランスが崩れたかなと。結果だけを見たらそう思います。ジェイのところでうまくプレスがハマらなかった。全体的に。1失点したときに、自分たちで修正できればよかったと、試合が終わったあとにみんなで話したんです。後半は守備がハマらなかったし、バランスも悪かったという話が出ました。そこを試合中に自分たちで変えられるという勇気と力がもっとないといけないと思いました」

 時に臨む勇気と、変に応ずるだけの力がこの日の札幌にはなかった。後手を踏み続けた結果の5失点。

「慌てずにボールを回して、もう少し相手を食いつかせて、来たところをはがしていくということができれば、もっと攻撃にリズムが出てくると思う。そこは修正してやっていきたいです」

準決勝はリベンジの機会となるか?

 幸いにも、G大阪にリベンジするチャンスはすぐにやってくる。10月9日と13日にホーム・アンド・アウェーでルヴァンカップの準決勝を戦うからだ。つまりは、すぐに修正に努めなくてはならないということ。むろん、簡単な話ではない。

「(守備が)ちょっとハマらないなと思って、ジェイにもっと前に出てとは言っていたんですが、シャドーをやったことないんでジェイも。僕のところでもプレスが2対1になってかけられなかったし、難しい展開になった。
 ゲーム中も、失点後にはもうちょっと話したほうがいいなと思いました。ただ、今日はうまくいかないでダラダラといって失点して、うまくいっていて攻撃もできていての失点ではなかった。そこは改善の余地がある」

 ルヴァンカップの準決勝2試合も含めたG大阪との3連戦の初戦で、札幌は状況の変化への対応力と修正する力が試され、そして失敗に終わった。次は同じ轍を踏むことはできない。試合直後の選手間の話し合いで確認した課題に取り組み、鈴木自身が感じた『余地』にしっかりメスを入れて第2戦に臨まなくてはならないわけだ。この機を逃せないことは選手も、スタッフもよく理解している。

「僕自身も、ここまで(=準決勝)来たのは初めてですし、コンサとしても初めての景色というのを、みんなで見られるようにしたい。ここが正念場。初タイトルに近づいているわけで、この機会を逃したくはないです、本当に。ファンの皆さんとともにコンサドーレの歴史を変えられたらいいと思っています」

 短い期間で歴史を刻む準備が整えられたか否か。最初の答えは10月9日に出る。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE

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