ガイナーレ鳥取MF長谷川アーリアジャスールが、現役生活最後の一戦への特別な思いを語った。先発出場した前節のホーム最終戦を勝利で飾り、試合後には引退セレモニーも実施。正真正銘のラストマッチとなる最終節へのカウントダウンが始まり、いろいろな感情が芽生えてきているという。

上写真=現役生活最後の1週間。アーリアは思いを込めて日々のメニューを消化している(写真◎石倉利英)

「毎日、幸せを感じている」

 ホーム最終戦となる11月17日の明治安田J3第37節・ツエーゲン金沢戦に先発出場。71分に交代で退く際は鳥取だけでなく、金沢の選手・スタッフ、審判団もハーフウェーライン付近に集まり、花道を作って送り出した。

「相手チームの選手も、審判員の方々も来てくれて、サッカーっていいな、と思いました。自分の好きなサッカーをやってきて、みんなから感動をもらい、すごく幸せな時間だった」と振り返る。来季以降も現役でプレーできると感じさせるパフォーマンスを披露し、「自分で終わりを決めて、ああいう形で引退できるのは、なかなかできないこと。そういう意味では出し切ったと思う」と納得の表情を浮かべた。

 1-0で勝利した試合後の引退セレモニーでは、夫人と3人の息子が登場。長男が手紙を読み上げたシーンは大きな感動を呼び、動画がSNSでも話題を集めた。夫人の手直しは少しだけ、ほとんど長男が自分で考えたメッセージとのことで、「ああいう息子たちを見ると、素直に育ってくれているんだなと思うし、3人の面倒を一人で見てくれている妻には頭が上がらない」と感謝した。
 
 11月24日の最終節、アウェーでのSC相模原戦に向けた現役生活最後の1週間。練習場の芝生にスタッフから感謝のメッセージが刻まれるなど、「みんなからの愛を受け取って毎日、幸せを感じている」という。21日の練習前にはDF温井駿斗から「『今日が最後の紅白戦ですね』と言われて、そうか、と。プロになってからずっと、毎週のように紅白戦をやってきて、終わりなんだと思って、プレーしながら浸っていた」と笑った。
 
 埼玉県出身で関東には多くの友人・知人がおり、最終節は「みんなが『見に行くよ』と連絡をくれる」と明かした。「ただでさえ涙腺が弱くなっているから、また泣いちゃうかもしれない」と語り、「自分が18年間やってきたプレーを見せて、恩返ししたい。引退してからも、アーリアを応援してきてよかったな、と思えるような人間になっていきたい」と決意を口にした。

取材・写真◎石倉利英