SC相模原GK東ジョンが、アウェーでの勝ち点1獲得に貢献した。10月8日の明治安田生命J3リーグ第29節・ガイナーレ鳥取戦で多くの好セーブを見せて無失点に抑え、チームはスコアレスドロー。名古屋グランパスから育成型期限付き移籍で加入して定位置をつかみ、ファン・サポーターのためにもJ3残留に導く決意を新たにしている。

上写真=スコアレスドローに貢献した東。この日の試合を終えて加入後12試合連続のフル出場となった(写真◎石倉利英)

■2023年10月8日 J3リーグ第30節(@ヤジン:観衆2,832人)
鳥取 0-0 相模原

7月に加入してJリーグデビュー

 敵地に乗り込んだ相模原はボール支配率では劣勢だったものの、DFを含む守備陣が最後まで粘り強く対応し、無失点に抑えた。東は「自分はGKなので、ゼロで抑えることができたのはよかったのですが、いまチームの調子が良いので、絶対に勝ち点3を取りたいと思っていました。試合後ロッカールームへ帰ってきても誰一人、安心している選手はいなくて、みんな悔しがっていた」とチームメイトの様子を明かした一方で、「あまり試合内容は良くなくて、課題もたくさんあったので、次につなげられる勝ち点1だと思う」と前向きに振り返っている。

 試合終了間際には波状攻撃を浴びたが、90+2分の鳥取MF田村亮介のシュートを鋭い反応で防ぐなど、多くの好セーブを見せた。「最後のピンチは自分のキックミスからだったので、絶対に止めなければいけないと思っていた」と反省点を挙げたものの、「試合全体を通してみると、落ち着いてプレーできたと思います。相手の枠内シュートは11本くらいあったと思いますが、DFと協力してゼロに抑えたことは自信につながる」と確かな手応えをつかんだ。
 
 名古屋グランパスU-18から2021年にトップチームに昇格し、同年は栃木SCに期限付き移籍したが、公式戦の出場機会はなかった。昨季は復帰した名古屋で、今季は育成型期限付き移籍で加入した水戸ホーリーホックで、やはり出場機会なし。今季途中の7月に同じく育成型期限付き移籍で相模原に加入すると、直後のリーグ戦で先発してJリーグデビューを果たした。

 以降は正GKとして、この日の試合を終えて12試合連続のフル出場となり、「名古屋でもレベルの高い中で練習し、成長は感じていましたが、やはり試合に出ないと成長できない部分は多いと感じています。試合勘、勝たせるための動きは、以前よりも成長できていると思う」という感触をつかんでいる。J3残留争いという重圧の中で実戦経験を積み、「試合に出ないと分からない課題、悪いところも見えるようになってくる。しっかり改善できるようにやっていきたい」と今後を見据える。

 この日は相模原のファン・サポーターが、前半は東の背中側、後半は視線の向こうにあるゴール裏スタンドから声援を送ってチームを鼓舞。期待に応えて勝ち点1を持ち帰る結果をつかみ、「相模原のサポーターは、どこにでも、たくさん来てくれます。今日も声が聞こえていて、後半は反対側のゴールにいても、ずっと聞こえていました。それが自分たちの力になっています」と感謝した。

 依然として降格圏内の19位という状況で、残り8試合でのJ3残留を目指す。「わざわざ鳥取まで来て応援してくれる、たくさんのサポーターの皆さんに残留という結果で恩返ししたい」と力強く語った相模原の守護神は、「感謝の気持ちを伝えられるように頑張っていきたい」と決意を口にした。

取材・写真◎石倉利英