9月16日の明治安田生命J3リーグ第27節で、ガイナーレ鳥取と福島ユナイテッドFCが対戦した。開始わずか25秒で先制した福島に対し、鳥取も後半に一度は追い付くが、福島が相手のミスを突いて勝ち越し。それでも鳥取が終盤に再び追い付き、ドロー決着で勝ち点1を分け合った。

上写真=福島が常に先行する展開も、鳥取は多くのチャンスを使って二度追い付き、勝ち点1を分け合った(写真◎石倉利英)

■2023年9月16日 J3リーグ第27節(@Axis:観衆2,119人)
鳥取 2-2 福島
 得点:(鳥)富樫佑太、普光院誠
    (福)塩浜遼、森晃太

福島は実信ヘッドコーチが代行で指揮

 公式記録で気温27・9度、湿度88パーセント。Axisバードスタジアムは前半途中に小雨が降ったものの、その後は降らなかったため、肌にまとわりつくような蒸し暑さを感じる中での一戦となった。

 試合は開始直後に動く。鳥取がキックオフからパスをつないでいたが、福島がカットしてエリア内左サイドへ展開。今季途中まで鳥取に在籍していたFW澤上が「あれはシュート」と語る、左足を振り抜いたボールが逆サイドまで流れたところにFW塩浜が飛び込み、右足で蹴り込んで開始わずか25秒で均衡を破った。

 出鼻をくじかれた鳥取は、直後にMF富樫が左サイドから約30メートルのロングシュートを放つも、左ポストに当たって決まらず。8分にMF東條、11分に再び富樫とゴール前での決定機を作るが、それぞれシュートが枠を捉えず追い付くことができない。

 福島もカウンターから何度かチャンスがあり、35分にはゴール前の混戦から相手のクリアが左ポストに当たって、オウンゴールで2点目かという場面があったが、こちらも決められず。そのまま前半は福島の1点リードで終えた。

 後半に入り、福島は51分に右からのセンタリングを澤上がヘッドで合わせるチャンスがあったが、左に外れて決まらず。直後の52分、鳥取はゴール前中央でパスを受けた富樫がドリブルで左に流れながら、エリア外から鋭く左足を振り抜くと、ニアサイドを突いたボールが鮮やかにネットを揺らして1-1とした。

 その後も鳥取は57分に富樫のパスからMF牛之濵が決定的なシュートを放つなど、追い付いた勢いで一気に逆転を目指したが、耐えた福島が71分に勝ち越し点を奪う。鳥取の最終ラインからのビルドアップでGK井岡がDF増谷につなぎ、増谷が井岡に戻そうとしたパスが短くなったところをDF雪江がカット。このボールを拾ったMF森がドリブルで右に運びながら井岡と増谷をかわし、右足で蹴り込んだ。

 だが福島もその後の3点目のチャンスを生かせず、84分に鳥取が再び追い付く。右からのクロスが相手にはね返されたボールをエリア外左サイドで拾ったMF普光院が、ニアサイドの密集を抜ける右足ミドルシュートを決めた。

 なおも鳥取は多くのチャンスを作ったが、福島も3点目は許さず、そのまま引き分けで勝ち点1を分け合った。鳥取の増本浩平監督は「開始1分もたたずに失点してしまったり、もったいないミスからの失点があったのは、いただけなかった」とコメント。依田光正監督が体調不良のため、代行で指揮を執った福島の実信憲明ヘッドコーチは「追い付かれて、また勝ち越して、追い付かれてという展開で、勝ち切りたかった試合ですが、アクシデントの中で選手はファイトしてくれて、非常に良かったと思う」と選手の奮闘を称えた。

取材・写真◎石倉利英

▼出場メンバー
・鳥取:GK井岡海都、DF坂本敬、増谷幸祐、鈴木順也、石井光輝(87分:丸山壮大)、MF世瀬啓人、普光院誠(87分:大久保優)、牛之濵拓、東條敦輝(63分:吉井佑将)、富樫佑太(76分:知久航介)、FW重松健太郎(HT:小澤秀充)

・福島:GK大杉啓、DF堂鼻起暉、田中康介、鈴直樹、大武峻、柴田徹(89分:古林将太)、MF森晃太(87分:三木直土)、宮崎智彦(68分:大森博)、上畑佑平士、FW澤上竜二(68分:雪江悠人)、塩浜遼(68分:吉永大志)