松本山雅FCのFW鈴木国友が、8月5日の明治安田生命J3リーグ第21節で、かつて期限付き移籍でプレーしたガイナーレ鳥取と対戦。プロ初得点を決めた原点のスタジアムでの古巣対戦となったが、チームを勝利に導くことはできず、試合後は今後の巻き返しへの強い決意を口にしている。

上写真=2トップの一角でプレーした鈴木はシュート1本に終わり、チームも敗れる悔しい結果に(写真◎石倉利英)

■2023年8月5日 J3リーグ第21節(@Axis:観衆5,411人)
鳥取 2-1 松本
 得点:(鳥)富樫佑太、牛之濵拓
    (松)菊井悠介

「一歩、前に出られなかった」

 2トップの一角で先発した鈴木は、11分に相手のパスをカットしてカウンターで攻め込み、ドリブルからの右足シュートが右に外れたチャンスがあったものの、シュートはこの1本のみ。72分に交代で退き、松本は1-2で敗れて3試合ぶりの黒星を喫した。

 試合後は「ウチがやりたかった、前からプレスではめることが、なかなかできなかった」とコメント。「自分自身、相手のボランチを気にし過ぎて一歩、前に出られなかったのは反省点。もっと強気なポジションを取っていければよかった」と悔しそうに語った。

 会場となった鳥取のホーム、Axisバードスタジアムは思い出の地だ。2018年に桐蔭横浜大から湘南ベルマーレに加入し、19年7月に鳥取に期限付き移籍。ロアッソ熊本との第18節、このスタジアムで決めたゴールが、記念すべきプロ初得点だった(当時の名称は、とりぎんバードスタジアム)。

 鳥取ではJ3リーグ14試合に出場して3得点。うち1得点は、この年にJ3で優勝したギラヴァンツ北九州戦で決めたもので、これを機に翌20年は北九州に期限付き移籍した。21年に松本に完全移籍し、昨季の2クラブへの期限付き移籍を経て今季、松本に復帰。自身19年以来となるJ3で戦っており、今回プロキャリア原点の地でプレーすることになった。

「半年間だけでしたが、プロ初ゴールを決めることができたり、北九州戦でゴールを決めて、北九州に行った流れもある。ここから僕のサッカーのキャリアが始まったのは間違いない」と振り返る。特別な思いとは別に、もちろん松本の選手として勝利を目指したが実らず、「今日は鳥取のやりたいようにやられた試合だった」と厳しい表情を見せた。

 この日の敗戦で松本は鳥取に勝ち点で上回られ、首位の愛媛FCとの勝ち点差は11に広がった。「まずは自分自身にしっかり目を向けてやっていきたい。チームとしては、やり続けることが一番大事だと感じている」と語った鈴木は、「手を抜いている選手はいませんが、僕も含めて、もっと個人のところで全員が意識してやれれば、差は埋まってくると思う」と追撃へのポイントを指摘した。

取材・写真◎石倉利英