ガイナーレ鳥取MF長谷川アーリアジャスールが、鳥取県内の小学生をホームゲームに招待する企画を始めた。自らの小学生時代にJリーガーに声を掛けられ、うれしかった経験がもとになっており、チケットには直筆でメッセージを書き、今度は自分が子どもたちに喜びを与えたいと願っている。

上写真=6月4日のFC岐阜戦が終わると、アーリアはユニフォーム姿のままで子どもたちとの時間を作った(写真◎GAINARE TOTTORI)

「こちらも勇気をもらえる」

 背番号33にちなんで『ARIA SEAT(アーリアシート)33』と名付けられている今回の企画。鳥取県サッカー協会に登録している小学生年代のチームの中から、1試合につき選手15人程度と、引率者および参加者の保護者を加えた計33人を、今季残りのホームゲーム全試合(オールガイナーレYAJINスタジアムで開催される試合は除く)でメインスタンドに招待し、試合後に直接ふれあう時間も設けるというものだ。

 昨季まで所属していたFC町田ゼルビアでも、同様の企画を行なっていた。きっかけは自らの小学生時代、「高学年のときにNTTカップという大会に参加して、大宮アルディージャの選手とふれあう機会がありました。選手の名前は忘れてしまったのですが、『アーリア、頑張れよ!』と言われたのが、うれしくて心に残っている」という経験だ。

 プレー写真がデザインされた特別なチケットには、直筆でメッセージを書く。初めて招待した6月4日のFC岐阜戦の前には、チケットを前にして『心に残る言葉にしたい』と長い時間をかけて検討。ホワイトボードに候補を挙げながら悩みに悩み、最終的に『今に夢中になれ!!』と記した。「サッカーが好きな子だけでなく、サッカー以外のことに興味がある子にも、自分自身の今に夢中になってほしい」という思いが込められている。

 迎えた岐阜戦、みわサッカークラブの子どもたちがメインスタンドで見守る中、アーリアはボランチの一角で先発して69分までプレーしたが、鳥取は1-2で敗戦。それでも試合後はロッカールームに戻る前にユニフォーム姿のまま、ピッチに下りてきた子どもたちの元に向かい、全員に語りかけたり、ハイタッチや写真撮影でふれあう時間を作った。

「町田のときもそうでしたが、子どもたちの笑顔や、キラキラした目がうれしかったです。僕の話を真剣な表情で聞いてくれて、『次も応援するよ』と言ってくれました。こちらも勇気をもらえますね」とアーリアは笑顔で振り返った。次の招待試合は6月17日のギラヴァンツ北九州戦。鳥取は今季ホーム未勝利が続いているだけに、「まずはホームでしっかり勝って、もっと良い活動になるように頑張っていきたい」と決意を新たにしていた。

取材◎石倉利英