FC岐阜のMF柏木陽介が、完全復活への手応えを口にした。6月4日の明治安田生命J3リーグ第12節・ガイナーレ鳥取戦で後半途中から出場し、勝利に貢献。負傷による長期離脱から復帰2試合目でハイレベルのプレーを見せ、試合後は現状について自信あふれるコメントを残している。

上写真=6月4日の鳥取戦で途中出場し、勝利に貢献した柏木。攻守にアグレッシブなプレーを見せた(写真◎石倉利英)

「いままでやってきたレベルまで戻ってきた」

 前半に先制した岐阜が1-0とリードしていた59分、柏木はFW田中順也と同時に途中出場。外から見ていたチームのプレーを「前半から落ち着いていなかった。ボールを支配されて、自分たちがボールを持つ時間は、ほとんどなかったんじゃないかな」と指摘し、「ボールを落ち着かせて、流れを変えて、順也とともに1点を取りにいこう」との考えがあったと明かした。

 狙いどおり、61分に田中が2点目を決めて「入ってすぐ点を取れたのはよかったし、ボールも落ち着いて動かせるようになった」と振り返る。その後は中盤の一角で幅広く動いてパスを引き出し、的確につないで攻撃のリズムを生み出すだけでなく、守備でもハードワークを続け、激しいスライディングタックルを繰り出す場面も。岐阜は70分に1点を返され、終盤は波状攻撃を浴びたものの、1点差で逃げ切ってリーグ戦3連勝とした。

 昨年10月に右足のアキレス腱を断裂する重傷を負って長期離脱していたが、第11節のカターレ富山戦で74分から出場し、約8カ月ぶりの戦列復帰。復帰2試合目のプレーに完全復活への確かな手応えをつかみ、試合後に力強く言った。

「途中から入って、この年齢(35歳)で、ケガ明けで、守備に関しても、見ていて誰もが『あれ、どこにでもおるやん』みたいな感覚だったと思う。守備のボールの奪い方、スライド、予測、準備。すべてにおいて、自分がいままでやってきたレベルまで戻ってきたかな」

 今季、上野優作監督が就任して2019年以来のJ2復帰を目指している岐阜は、第6節から4連敗を喫し、この時点で20チーム中18位と苦しんでいた。だが、その後に鳥取戦まで3連勝を飾り、10位まで浮上している。

 柏木は「自分が復帰したことによって、練習のレベルが上がったと思う」と語る。「サブ組(控え組)に入って一緒にやると、サブ組の質がちょっと上がるから、攻撃が良くなって、出ている選手たちも気持ちが入ってできるようになった」という思いがあるからだ。
 
 リーグ戦2連勝の合間に天皇杯1回戦でも勝利しているが、内容は決して良くなかったとの認識を示した。その上で「自分が入って、自分がいるというみんなの安心感が、チームの勝利につながっているんじゃないかと思う。自分が途中から出て(力を)見せつけていくことが、チームの強さにつながってきているかな。それを続けていけたら、おのずと勝ち点は伸びてくると思う」と今後を見据えた。

 控えスタートという現状を理解した上で、満足はしていない。自らのクオリティーを生かし、先発出場で貢献できるという絶対の自信を口にした。

「自分はスタメンで出るのが好きで、サッカー選手としては当たり前。自分のプレーはJ3では正直、替えが利かないと思っている。これを続けていきたい。いまはチームの現状をしっかり受け止めてプレーしていく。それが、またチームの勝利につながると思う」

 首位の富山との勝ち点差は6で、さらにギアを上げていくことが追撃には必須だ。加入3年目を迎えた柏木は「もちろん4連勝、5連勝と目指していくけど、10試合くらい負けなかった、という流れを持ちながら、上に食らいついていけるのが理想だと思う」とコメント。「あるいは、1回負けてしまうかもしれないけど、その後に3連勝で取り戻していくとか。連敗しないチーム、負けないチームが上に上がっていける。それを意識しながらチームとして、いろいろなことに取り組んでいきたい」と強調した。

取材・写真◎石倉利英