天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会の予選となる都道府県選手権大会にはJ3のクラブが出場するため、プロとアマチュアの対戦も多い。4月23日の鳥取県代表決定戦では、J3のガイナーレ鳥取と中国リーグのYonago Genki SCが対戦。昨季まで鳥取に在籍していたYonago Genki SCのGK福留健吾にとっては、特別な一戦となった。
「少し感傷的になった」
そう語る福留は1年前、反対側のゴールを守っていた。昨年の県代表決定戦には鳥取のGKとしてフル出場。Yonago Genki SCの攻撃に立ちはだかり、5-0の勝利に貢献している。
鳥取県出身。境高から関西大に進み、卒業後にドイツに渡ってアマチュアクラブを渡り歩いたのち、無所属の期間も挟みながら水戸ホーリーホック、アスルクラロ沼津、アルビレックス新潟シンガポールでプレー。2020年に地元クラブの鳥取に完全移籍で加入した。
最初の2年間は公式戦出場がなく、前述のYonago Genki SC戦が加入後初出場だった。これが結果的に鳥取在籍中の出場は最初で最後になり、昨季限りで契約満了に。Yonago Genki SCに加入し、1年後の古巣対戦に臨んだ。
当然とも言える強い意気込みは「あまり表には出さないようにしてきましたが、すごく特別な試合だった」と振り返る。さらに「1年後に同じ大会の同じ試合で、反対のチームにいるのは、なかなか経験できないこと。相手の監督、コーチ、選手、サポーターの方たちも、知っている人がたくさんいる。自分がどういうGKなのか、しっかり示そうと思ってピッチに立っていた。結果は及ばなくて悔しいですが、何か感じてもらえるものがあったら」と思いを明かした。
試合後に鳥取のファン・サポーターが自分のチャントを歌ってくれて「少し感傷的になった」という。「もともとは選手であり、これからも、このクラブを応援していきたい」と古巣への思いを語った福留は、「自分自身も違った形で、鳥取県のサッカーの発展に関わっていけたら」と続けた。次の公式戦は4月30日の中国リーグ第3節・福山シティFC戦。古巣対戦で感じた、さまざまな思いを胸に準備を進めていく。
取材・写真◎石倉利英