4月9日の明治安田生命J3リーグ第6節で、ガイナーレ鳥取とヴァンラーレ八戸が対戦した。鳥取が前半に2点を先制したものの、八戸も前半終了間際から反撃して2-2に。鳥取は再度突き放したが、八戸がまたも追いつき、点の取り合いの末に3-3の引き分けに終わった。

上写真=常に鳥取が先行する展開となったが、八戸が粘り強く追いついてアウェーで勝ち点1を得た(写真◎石倉利英)

■2023年4月9日 J3リーグ第6節(@Axis:観衆1,515人)
鳥取 3-3 八戸
 得点:(鳥)田村亮介2、東條敦輝
    (八)宮本拓弥、妹尾直哉、佐々木快

・鳥取メンバー◎GK糸原紘史郎、DF石井光輝、増谷幸祐、鈴木順也、文仁柱、MF田村亮介、普光院誠(64分:富樫佑太)、世瀬啓人、東條敦輝(57分:小澤秀充)、FW重松健太郎、大久保優(64分:澤上竜二)

・八戸メンバー◎GK大西勝俉、DF加藤慎太郎(74分:丹羽一陽)、近石哲平(HT:饗庭瑞生)、蓑田広大、MF山田尚幸、相田勇樹、前澤甲気、國分将、稲積大介、FW妹尾直哉(74分:佐藤碧)、宮本拓弥(74分:佐々木快)

計6ゴールの点の取り合い

 この日の鳥取地方は朝から快晴に恵まれ、日差しを浴びると汗ばむ陽気に。一方で風が強く吹き、前半は鳥取、後半は八戸が風上で戦う展開となった。

 序盤に主導権を握ったのは鳥取。開始直後から多くのチャンスを作ると、19分に先制点を奪う。MF普光院のパスを受けたFW大久保が、うまくコントロールして並走するMF田村へ。田村は「トラップをミスしてしまった」と振り返ったが、うまく立て直して左足を振り抜き、ゴール右に蹴り込んだ。

 さらに24分には、DF石井がインターセプトしたボールが右サイドを走る大久保に渡り、内側を攻め上がった石井が大久保のセンタリングに合わせて右足でシュート。クロスバーに当たったものの、ファーサイドに流れたこぼれ球をMF東條が右足ボレーで蹴り込み、Jリーグ初ゴールでリードを2点に広げる。

 しかし、2失点後に布陣を3バックから4バックに変えた八戸が、前半アディショナルタイムの45+2分に1点を返す。右サイドから攻め込むと、一度はセンタリングをはね返されたが、こぼれ球を拾ったMF國分が再度ニアサイドに送り、飛び込んだFW宮本がヘッドでファーサイドに決めた。

 これで勢いづいた八戸は後半、前半とは対照的に鳥取を押し込み、60分に同点ゴールを奪う。最終ラインからのクリアを拾った宮本が右サイドを走るMF妹尾につなぎ、一気に加速してエリア内に入った妹尾が鳥取GK糸原の股間を抜いて1対1を制した。昨季まで鳥取でプレーしていた妹尾は今季初先発で、古巣相手の加入後初ゴールとなった。

 だが鳥取も64分、中央でこぼれ球を拾ったFW重松が、最終ラインの背後に走る田村へスルーパス。トラップで飛び出してきた八戸GK大西をかわして蹴り込み、この日2点目で再びリードを奪う。

 それでも粘る八戸は79分、右サイドでの混戦から抜け出したMF相田がエリア内に入ったところで、鳥取GK糸原に倒されてPKを獲得。これを交代出場のFW佐々木が決め、再び追いつく。さらに逆転を目指して攻め込んだものの、鳥取も踏ん張って試合終了を迎えた。

 八戸は今季初めて複数失点を喫したが、こちらも初めての複数得点で勝ち点1を獲得。石﨑信弘監督は3失点目を「追いついた後の落ち着きが足りず、いらない失点だった」と指摘したものの、「そこから、また追いついたのは評価できる」と前向きに語った。

 鳥取は前回のホームゲームとなった3月26日の第4節・カマタマーレ讃岐戦で、60分までに2-0としながら、88分と90+3分に失点して2-2で引き分けており、またも2点のリードを生かせず。その後の勝ち越し点も実らず、今季ホーム初勝利を逃した。

 金鍾成監督は「前半の流れのように90分間続けるのは簡単ではないが、後半の入りに、前半の最後に失点してしまったネガティブさを、そのまま持ち込んでしまったのかなと思う」とコメント。そこから「また点を取ったのは良かった点ですが、また押し込まれて失点してしまった。引き分けだと、どんどん勝ち点を失っていく。まだホームで勝てていないので、3週間後のホームゲームでは勝てるように準備していきたい」と語った。

現地取材・写真◎石倉利英