ガイナーレ鳥取の金鍾成監督が、昨季の教訓を胸にチームづくりを進めている。2022年はスタートダッシュに失敗し、失点の多さも響いて目標のJ2復帰に遠く及ばず。就任3年目を迎える新シーズンに向けては、より強固な守備の構築を意識しているという。

上写真=就任3年目のシーズンに向けて練習の指揮を執る金鍾成監督(写真◎石倉利英)

「J2に昇格する、それ以外にない」

 2021年5月、明治安田生命J3リーグ第7節終了後に解任された髙木理己前監督の後任として就任した金鍾成監督は、就任3年目のシーズンに向けて準備を進めている。昨季まで主力だった選手数人が移籍した一方、別のクラブで指揮を執っていたときに指導した選手が多く加入しており、既存戦力との融合がテーマの一つだ。

 ただ、1月12日のチーム始動から間もないこともあり、「経験を積んでいる選手たちが来て、知っている選手もいますが、(以前に指導していたときから)間隔も空いている。いまは、どんなプレーをするのかを見ている状態」だと説明する。目指す形はあるにせよ、「ウチの形がどうこうと言うことによって、選手がそちらに寄り過ぎてしまうのも良くない。まずは言葉ではなく、プレーで見せてほしい」と、個々の特徴を出させることに注力している現状を明かした。

 2021年は就任後もリーグ戦6試合未勝利と立て直しに時間がかかり、15チーム中12位に終わった。捲土重来を期した2年目の昨季も開幕2連敗でつまずき、第10節まで1勝1分け8敗とスタートダッシュに失敗。致命的な出遅れが響いてJ2昇格争いに絡むことができず、18チーム中12位という不本意な結果に終わっている。

 昨季は34試合でリーグワースト2位の56失点という守備の乱れが、不振の大きな要因だった。指揮官は前線から積極的にプレッシャーを掛けてボールを奪い、そのままの勢いで相手ゴールに迫る攻撃的な戦いを志向。リーグ3位タイの55得点という数字に成果の一端は表れたが、リスクとのバランスの悪さで結果につながらなかった。

 そうした状況を踏まえて臨む今季、金鍾成監督は「蓋を開けてみないと分からない面もあるが、攻撃的に戦うのであれば、それに見合う守備の形をしっかり作っておかなければいけない。そこは昨季の教訓として感じている」とコメント。アグレッシブにボールを奪いにいく狙いを継続しつつ、「人数をかけるのなら、そこで(ボールを)取り切る意識が、いまのところは最重要課題」と説明した。

 昨季までは最下位になっても、翌シーズンもJ3で戦うことができた。しかしJFLとの入れ替えが始まる新シーズンは、昨季のように序盤で勝ち点を伸ばせなければ、残留争いに巻き込まれる可能性が高まる。新体制会見で目標を「J2に昇格する、それ以外にない」と語った金鍾成監督は、3月第1週の開幕に向けて、まずはスタートで出遅れないチームづくりを進めていくことになる。

取材・写真◎石倉利英