ガイナーレ鳥取FW田口裕也が、ファン・サポーターの声援への感謝の思いを語った。プロになって初めて声出し応援が認められた試合でプレーし、子どもの頃に見ていたJリーグの舞台に立っていることに感動したという。

上写真=前節が約2カ月ぶりの先発出場だった田口(写真◎石倉利英)

「あいつはすごいと思ってもらいたい」

 9月18日の明治安田生命J3リーグ第25節で、鳥取は松本山雅FCとアウェーで対戦。田口は7月の第17節以来、約2カ月ぶりに先発メンバーに名を連ね、「久しぶりで緊張していましたが、すごく気合が入っていた」という。

 しかし、前半に2失点して0-2で折り返した鳥取は、51分にオウンゴールで1点を返したものの、1-2で敗れて5試合ぶりの黒星。田口はフル出場したが1本もシュートを打てず、「フォワードとして、シュートゼロはひどい。チャンスらしいチャンスも作れず、申し訳なかったです」と厳しい表情でコメントした。

 無念の結果とは別に、感慨深い出来事も。この日は新型コロナウイルス感染症の影響が始まった2020年以降、鳥取の試合では初めて声出し応援が認められた。同年に四日市中央工高(三重)から加入した田口にとっては、プロで初めて声援を受けながらプレーする試合となったのだ。

 開幕が6月にずれ込んだ2020年のJ3開幕戦でデビューした田口は、いきなり初得点を決めたが、プロ2得点目を決めた第3節までは無観客試合だった。初めて観客が入った試合でプレーしたのは第4節、アウェーでの鹿児島ユナイテッドFC戦。初めて先発で出場し、相手選手の退場を誘発するなど2-1の勝利に貢献した田口が試合後に「観客がいると、雰囲気がすごいですね」と驚いていると、スタッフが「声援があったら、もっとすごいぞ」と笑いながら教えたというエピソードがある。

 声援が飛び交う中での90分間を「小さい頃から見に行っていた、Jリーグの舞台に立っている。自分がプロであることを、あらためて実感しました」と感慨深げに振り返った。松本と比べれば鳥取のファン・サポーターの数は少なかったが、「しっかり声は聞こえていました。やっぱり皆さんは最高のサポーターだし、声出し応援は最高です」と感謝している。

 次節は9月24日、ホームで鹿児島と対戦。声出し応援は認められていないが、前述のようにプロ初先発を飾った思い出の相手から、6月の第12節以来となる得点と、勝利への貢献を目指す。プロ1年目はリーグ戦8得点、2年目の昨季は9得点を奪ったものの、今季ここまでは2得点。鹿児島は2位でJ2昇格争いを繰り広げており、「力がある上位のチームを相手にして、何ができるか。残り9試合、持てる力をすべて発揮してゴールを決めて、ファン・サポーターの皆さんに、あいつはすごいと思ってもらいたい」と言葉に力を込めていた。

取材・写真◎石倉利英