6月5日の明治安田生命J3リーグ第11節で、ガイナーレ鳥取と松本山雅FCが対戦。後半途中までは松本に決定機があり、終盤は鳥取が押し込んだが、お互いにチャンスで決め切ることができず、0-0の引き分けに終わった。

上写真=どちらにもチャンスがあった一戦はスコアレスドロー(写真◎石倉利英)

■2022年6月5日 J3リーグ第11節(@Axis:観衆2,003人)
鳥取 0-0 松本

・鳥取メンバー◎GK糸原紘史郎、DF魚里直哉(87分:馬場琢未)、長井響、石井光輝、丸山壮大(90+3分、鈴木順也)、MF石川大地、新井泰貴、世瀬啓人、田村亮介(56分:清永丈瑠)、FW大久保優(56分:田口裕也)、澤上竜二

・松本メンバー◎GKビクトル、DF下川陽太(HT:野々村鷹人)、大野佑哉、宮部大己、外山凌(86分:安田理大)、MF前貴之、安東輝(67分:稲福卓)、佐藤和弘(61分:ルカオ)、FW榎本樹(HT:山本龍平)、小松蓮、菊井悠介
 ※実際のポジションで表記

鳥取は連敗を6でストップ

 前日までは強い日差しが照りつけた鳥取地方だが、この日は曇り空。雨の心配もあったものの降ることはなく、そのぶん蒸し暑さを感じる中での一戦となった。

 立ち上がりから両チームともゴール前までボールを運び、セットプレーのチャンスも多い展開となるが、双方の守備陣が粘って決定機は作らせない。セットプレー以外で良い形を作っても、ラストパスやセンタリングの精度が低く、シュートにつながらない場面も目立った。

 一進一退の攻防が続く中、最初にビッグチャンスを作ったのは松本。29分、鳥取DF石井がゴール前でボールを持ったところにFW小松が寄せて奪い、GKと1対1となった。しかし、かわそうとしたところで鳥取GK糸原にキャッチされてしまう。結局、前半のシュートは鳥取が2本、松本が1本で、0-0で後半へと折り返した。

 松本はハーフタイムに2人を交代し、布陣を3バックに変更。55分には右サイドへのロングパスでFW菊井が抜け出し、折り返しを小松が左足で合わせたが、クロスバーに当たった。鳥取も徐々に押し返し、69分にMF清永が左サイドを突破してセンタリング、ニアサイドでFW田口がヘッドで合わせようとするも、わずかに届かず。71分には松本が敵陣の高い位置でボールを奪い、小松のパスからFW菊井が左足で右下スミを狙ったが、GK糸原のファインセーブに阻まれた。

 75分を過ぎると鳥取はチーム全体の前への推進力が増し、多くのチャンスを作る。83分には左サイドからFW澤上がセンタリング、ゴール前では田口が待っていたが、手前で松本DF宮部がスライディングしてカット、ゴールの枠内に転がったボールはGKビクトルがセーブしてCKに逃れた。

 さらに攻める鳥取は89分、DF丸山のセンタリングがワンバウンドしてエリア内に流れたところを、清永が右足ボレーで狙ったものの、GKビクトルにセーブされた。4分と表示された後半アディショナルタイムでもチャンスを作ったが決められず、そのままスコアレスドローで勝ち点1を分け合った。

 鳥取は第5節以来の今季2勝目はならなかったものの、連敗を6でストップ。金鍾成監督は「我々の現状の力や、6連敗中という結果からすると、選手たちは出し切って、ホームで勝てなかったとはいえ、勝ち点1を奪った。全くよしとしているわけではないですが、次につなげていきたいと思っている」と前向きに語った。

 一方、松本の名波浩監督は試合後の会見冒頭で「今季最悪、最低のゲームだったなというのが率直な感想。相手が連敗しているとはいえ、自分たちが負けていない(前節まで7試合負けなし)とはいえ、もっともっと相手が嫌がること(をやり)、謙虚さを持って戦わなければいけなかった」と厳しく指摘。「前々泊を許してくれたクラブや、今日も何十台と松本ナンバーの車を見ましたが、松本から来てくれた何百人のサポーターに、本当に申し訳ない気持ちでいっぱい」と続けた。

「大きな理由として、色気という言葉が出てくるのかな」と語った指揮官は、「うまいことやってやろう、目の前の敵を1回逃してから、はがしてからやってやろう、きれいに崩してやろう、相手を背負ってポイントを作って、2列目のために待ってあげようとか、さまざまな局面で攻撃の色気を出したことによって、プレースピードが遅くなる、ゴールに直結する動きがなくなる、の連続だった」とコメント。「選手たちに言ったのは、勝ち点2を失ったのではなく、1をもらった。最後は完全に鳥取のゲームだった」と、引き分けも致し方なかったとの見方を示した。

現地取材・写真◎石倉利英