今季ファジアーノ岡山からガイナーレ鳥取に移籍したDF増谷幸祐。過去2年間は負傷の影響で公式戦出場から遠ざかったが、トライアウトを経て加入した新天地ではコンディションも良く、意欲的に練習に取り組んでいる。

上写真=笑顔も見せながら練習に取り組んでいる増谷(写真◎石倉利英)

「本当に感謝しています」

「ケガなくプレーできているのは、サッカー選手としてうれしいこと。このまま継続して、もっとコンディションを上げていきたいです」

 本人が語るように、日々の練習メニューを順調に消化できている。苦しい時期が長く続いただけに、プレーできる喜びは、ひとしおのようだ。

 日本体育大から2016年にFC琉球に加入し、19年途中に岡山に期限付き移籍して、翌20年に完全移籍。20年の明治安田生命J2リーグ開幕戦ではフル出場して勝利に貢献し、好スタートを切ったかに見えた。

 しかし、新型コロナウイルス感染症の影響でリーグ戦が中断していた3月、恥骨結合炎で全治4カ月と発表された。その後は、復帰できそうになっても再び離脱するなど影響が長引き、残りの20年シーズン、さらに21年シーズンも公式戦の出場はなし。ほぼ2年間のブランクののち、岡山との契約が満了となった。

 それでも、現役続行を目指して参加したトライアウトでのプレーが鳥取の強化部の目に留まり、完全移籍での加入が実現。「鳥取からのオファーがなかったら、プロサッカー選手としてキャリアを続けられなかった。本当に感謝しています」とクラブへの思いを語る。

 練習では大きな声で盛り上げる様子が目立つ。「若い選手が多いので、明るさもあるけど波があり、疲れたときに静かになったりする。そういうときこそ、声を出せる選手が必要だと思って」と語った28歳は、「そんなキャラじゃないですけど、少しオーバーに声を出してやっています」と笑う。

 琉球時代に指導を受けた金鍾成監督からは「お前がやっている通りにやってくれ、と言われている」という。新加入ながら副キャプテン3人のうちの1人に指名され、チームリーダーとしての役割も期待されているはずだ。「いままでならあり得ない、副キャプテンという役割も与えられました。年齢も年齢ですし、チームのことを俯瞰(ふかん)して見る立場にならなければいけないと思っている」と意気込み、3月12日のJ3開幕に向けて準備を進めている。

取材・写真◎石倉利英