ガイナーレ鳥取MF安藤一哉が、新シーズン開幕に向けて着実に歩みを進めている。昨年6月に左ヒザに重傷を負い、長期離脱を余儀なくされたものの、すでに復帰。サッカーができる喜びをかみ締めつつ、準備に余念がない。

上写真=全体練習で精力的な動きを見せている安藤(写真◎石倉利英)

「離脱してから何もしていない」

 2月8日の鳥取の練習は、中長距離のダッシュを何本も繰り返すハードなものだった。それでも練習後の安藤は「めちゃくちゃ楽しいです」と笑顔。表情を見るだけで、現在の充実ぶりが伝わってくる。

 昨年6月の天皇杯で左ヒザ前十字靭帯損傷および内側側副靭帯損傷、復帰まで約8カ月という重傷を負った。東京農業大から加入1年目の2020年に主力として活躍し、さらなる飛躍とJ2昇格を期していたものの、そのままシーズンを棒に振った。

「ケガをしたときは先のことを考えられないくらい、目の前が真っ暗になってしまった」と振り返る。それでも、FW石川大地や大久保優、かつて鳥取でプレーしたMF上松瑛(現ブリオベッカ浦安)、MF山本蓮(現FC神楽しまね)など、新旧チームメイトの励ましが支えになった。2018年に左ヒザ前十字靭帯を損傷し、リハビリを経て復帰した経験がある山本は期間中の過ごし方を教えてくれるなど、「みんなから連絡が来て、勇気づけられた」という。

 すでに対人プレーなどフルメニューをこなしており、「日々練習して、帰って寝て、また練習して、というサイクルが、かけがえのないものだったと考えさせられました。サッカーに向き合う姿勢が、より高まったと感じている」と言葉に力を込める。「離脱してから何もしていない」という悔しさを、新シーズンで晴らすつもりだ。

 今後は3月12日の明治安田生命J3リーグ開幕に向けて、定位置争いが本格化する。プロ3年目のレフティーは「自分の武器はアタッキングサードでのドリブル。金鍾成監督の目指している攻撃的で魅力的なサッカーの中で、その武器を存分に出していきたい」と意気込んでいた。

取材・写真◎石倉利英