7月3日の明治安田生命J3リーグ第14節で、ガイナーレ鳥取とアスルクラロ沼津が対戦。前後半の立ち上がりに得点した沼津が今季最多の4得点で4-1と圧勝、大雨の被害に見舞われているホームタウンに捧げる勝利をつかんだ。

上写真=試合前の先発メンバーの写真撮影の際、静岡県および県東部にメッセージを送った沼津(写真◎石倉利英)

■2021年7月3日 J3リーグ第14節(@Axis:観衆866人)
鳥取 1-4 沼津
得点:(鳥)秋山大地
    (沼)佐藤尚輝、藤嵜智貴、渡邉りょう、安在達弥

・鳥取メンバー◎GK田尻健、DF石田侑資、鈴木順也、石井光輝、杉井颯(82分:藤原拓也)、MF世瀬啓人、新井泰貴、秋山大地、永島悠史(61分:大久保優)、可児壮隆、FW石川大地(61分:田口裕也)

・沼津メンバー◎GK大友竜輔、DF安在達弥、徳武正之(90+2分:井上航希)、藤嵜智貴、大迫暁(HT:濱託巳)、MF染矢一樹(77分:北龍磨)、菅井拓也、佐藤尚輝(90+2分:鈴木拳士郎、徳永晃太郎(66分:鬼島和希)、高橋潤哉、FW渡邉りょう

良い時間帯に得点

 この日の鳥取地方はキックオフ約1時間前から小雨がぱらつき始め、開始後は強く降る時間帯も。90分間を通して断続的に降り続き、気温25・3度、湿度80パーセントという蒸し暑さの中での一戦となった。

 前節終了時点で鳥取は最下位(15位)、沼津は13位で、下位脱出に向けて勝利が欲しい両チームの対戦は、立ち上がりの5分に早くも均衡が破れる。パスをつなぎながら敵陣に攻め込んだ沼津は、菅井が右サイドの染矢にスルーパス。内側にコースを取った染矢のファーストタッチは長くなったが、そこに走り込んできたMF佐藤が右足ダイレクトでファーサイドに蹴り込んだ。

 沼津はその後も17分にCKから徳武がヘッドで狙うなど、セットプレーを中心に追加点のチャンスがあったが、鳥取GK田尻に阻まれるなどして決められない。しのいだ鳥取は41分、エリア内左サイドから可児が右足でファーサイドを狙ったものの、沼津GK大友に防がれた。

 1点差で粘った鳥取が前半終了間際にチャンスを作ったことで、後半の展開が注目されたが、沼津がまたも立ち上がりの50分にゴールを奪う。徳永の右CKを、中央に走り込んだ藤嵜が打点の高いヘッドで合わせてネットを揺らした。さらに51分にも巧みなパスワークで左サイドを崩した流れから、渡邉が決めて一気にリードを広げる。

 鳥取も67分、沼津のミスを突いて左サイドから攻め込み、杉井のセンタリングのこぼれ球を秋山が決めて1点を返す。後半の飲水タイム直前の得点で流れを引き寄せるかに見えたが、沼津も72分に敵陣の高い位置でボールを奪った安在が渡邉に渡し、エリア内に走り込んで折り返しを左足で合わせて4点目。1点を返されながらも主導権を渡さず、4-1で勝利を収めた。

 前節までの12試合でリーグ最少の7得点と、得点力不足に苦しんでいた沼津は、一転して今季最多の4得点を奪って圧勝。連敗を3で止め、今井雅隆監督は「前半の立ち上がりと後半の立ち上がりに得点し、相手に1つ入れられましたが、そこでも加点できた。良い時間帯に得点できて、自分たちのリズムを作りやすかったという意味で、本当に選手が努力してくれた」と称えた。

 ホームタウンの沼津市など静岡県東部や県内各地は、大雨で大きな被害に出ており、この日は先発メンバーが写真撮影の際に『ガンバロウ!! 静岡・東部』と書かれた紙で激励のメッセージを送った。「選手の方から自発的に、自分たちがお世話になっている地元の静岡県東部に明るい話題を伝えようと(いう声があり)、試合前にロッカールームで、みんなで誓い合ってスタートした」と明かした今井監督は「まだまだご苦労されている方がいて、一夜明けると、いろいろな状況が見えてくると思いますが、明るい話題の一つにしていただければ、我々としてもうれしい」とホームタウンにエールを送った。

現地取材・写真◎石倉利英