6月16日、第101回天皇杯2回戦が茨城県のケーズデンキスタジアム水戸で開催され、Y.S.C.C.横浜は鹿島アントラーズと対戦。前半早々に遠藤康にゴールを奪われると、その後エヴェラウド、松村優太、上田綺世にも得点を許し大敗。オニエ・オゴチュクウが一矢報いた。

上写真=ハーフタイムにピッチ上に集まるYS横浜イレブン(写真◎サッカーマガジン)

■2021年6月16日 天皇杯2回戦(@Ksスタ/観衆2,458人)
鹿島 8-1 YS横浜
得点:(鹿)遠藤康2、エヴェラウド2、松村優太、上田綺世3
   (横)オニエ・オゴチュクウ

「最後に1点、たった1点ですけれど…」

 J3で戦うYS横浜にとって、大きなチャレンジだった。「我々にとっては大きな舞台、鹿島アントラーズという日本中の誰もが知っているビッグクラブと対戦できるチャンスでした。“ワンチーム”で力を出して、3回戦に進出しようという強い気持ちで臨んだ試合でした」と話すシュタルフ悠紀リヒャルト監督の下、日本の最多タイトルホルダーである鹿島から“ジャイアントキリング”を狙った。

 しかし、試合開始早々の10分と12分に立て続けに失点を喫したことで“番狂わせ”へのゲームプランが崩壊した。「戦い方としては、なるべく長い間、連続失点をしないこと。0-1(のスコア)をキープして、どこかで一発(ゴールを)入れて、延長戦やPK戦を目指していた」と指揮官は鹿島を攻略しにかかったが、「立ち上がり早々、懸念していた形で(得点を)取られて、2点目もコーナーキックでマークをフリーにしてしまった。ひっくり返すことが非常に難しいゲームになってしまいました」と出鼻をくじかれ、その後も失点を重ねた。

ケーズデンキスタジアム水戸の大型ビジョンにこの試合のスコアが掲示される(写真◎サッカーマガジン)

 前半に4失点、後半にも4失点。終わってみれば8点を奪われての大敗となった。「自分たちに力がないということを突きつけられました。非常に悔しいです。他のクラブがジャイアントキリングを起こしている中で、僕らはかすりもしなかった。まったく力が足りない」とシュタルフ監督は結果に向き合い、悔しさをかみ締めた。

 それでも指揮官は、「選手が何を持ち帰ってくれるか。一人ひとりの足りない部分、それから通用した部分もあると思うので、個人の中でそれを整理して、成長につなげてほしい」と、J1クラブとの対戦で得た経験からチームのさらなる成長を見据える。今大会から去ることにはなったが、神奈川県予選を勝ち抜き、1回戦で流通経済大に競り勝って獲得した鹿島への挑戦権には、大きな価値があったことだろう。

 そして、試合の中でシュタルフ監督が「唯一よかった点」に挙げるシーンもあった。0-8のスコアで迎えた終盤の83分にオニエ・オゴチュクウが1点を返し、スタンドに集まった水色のサポーターに一時の笑顔を届けられた。

「最後に1点、たった1点ですけれど、ここまで足を運んでくれたサポーターにゴールを届けられてよかったです」(シュタルフ監督)

 鹿島に突きつけられた現実と、敗戦によってあふれ出るさまざまな思い、今後への希望となる最後の1点。ケーズデンキスタジアム水戸のピッチ上で起きたすべてを未来への糧とし、YS横浜はこれからも前進していく。

取材◎サッカーマガジン編集部

終盤にゴールを決めたYS横浜のオニエ・オゴチュクウ(写真◎サッカーマガジン)