ガイナーレ鳥取の金鍾成(キン・ジョンソン)新監督の就任会見が行なわれた。開幕からの成績不振による前監督の解任を受け、チームの再建を託された新指揮官は、今後への決意や、鳥取県とのつながりなどについて語っている。

鳥取は「ふるさとのようなところ」

 鳥取県とはプライベートで縁があった。「私の母は境港市の生まれで、米子市育ちです」と明かした新指揮官は、小学生時代によく米子市を訪れており、初めてスキーをしたのも大山(だいせん)スキー場だという。12日に米子市入りして「何十年かぶりですが、自分のふるさとのようなところ。いつ、そのように落ち着けるときが来るかは分かりませんが、母が育った街をゆっくりめぐりたいし、温泉にもつかりたい。サッカー以外に、何かめぐり合わせがあったのかなと思っています」と笑顔を見せた。

 金鍾成監督は14日の練習から指揮を執り、チーム再建とJ2昇格を目指していく。最初の公式戦は5月23日の天皇杯1回戦で、徳島県代表のFC徳島と対戦。リーグ戦は5月30日の第9節・カターレ富山戦が初めての試合となる。

 そのほかの会見での主なコメントは以下の通り。

――ガイナーレにどんな印象を持っているか。

 フェルナンジーニョやレオナルドがいたときは、彼らを中心にチームが作られていて、去年は若い選手たちが躍動しているという印象を受けていた。僕の中での期待感は、その若さや、選手としての欲。そのあたりを彼らがしっかり出してくれれば、積極的で、スタジアムで見ている人たちが興奮できるようなプレーができるんじゃないか。攻撃的、守備的、いろいろありますが、それも選手を見ながら、彼らが一番パワーを出せる形が何なのかを見ながらやっていきたい。

――現状で足りないと感じていることは何か。

 始まる前から映像だけでイメージを作らずに、と思っている。もちろん試合を見て思うところはあるが、選手たちと接して、トレーニングして感じたことを、どんどんやっていければいい。ただスピードは、途中ということもあって急がなければいけないので、少し強引に伝えていくかもしれない。選手たちにも、そのことを理解してもらってやっていきたい。

――失点の多さ(7試合でリーグワースト2位の10失点)を、どう捉えているか。

 実際に(要因が)何なのかは、選手と接してトレーニングしないと確信を持てない。失点を減らすために、守備を強化するのか、より攻撃するのか、どちらからアプローチするのかも、選手たちとトレーニングしながら見ていきたいと思っている。失点が多いという事実はあるので、それが減って、得点が増えなければ結果は出ない。もちろん両方にアプローチしなければいけないと思っているが、具体的に何をどう変えれば、というところは、逆にイメージを持たないように意識している。

――監督として一番大切にしていることは何か。

 チームは監督が導くことが必要な部分と、選手たちが自分たちで作っていくところがある。選手たちが積極的に判断・実行したときに、良いチームが作られていくと思う。僕は節度という言葉が好き。かっちりはまっていない、それなりの雰囲気の中で、チームの決まり事も節度を持って。その緩みの中で、何か飛び抜けてくるものが出てくると思っているので、少し見てみたい、待とうと思っている。もちろん緩みがあってチームが崩れる恐れもあるので、それがプラスとなるか、マイナスとなるか、際(きわ)の勝負が監督の仕事だと思う。若い選手たちなので枠を決めず、より広いフィールドを与えたときに、どう力が出てくるか。そこは意識している。

取材・写真◎石倉利英