上写真=鳥取は安藤(中央奥)のゴールで先制したものの、その後の2失点で逆転負けを喫した(写真◎ガイナーレ鳥取)
「すごく大きな財産になった」
2月14日に京都の本拠地であるサンガスタジアム by KYOCERAに乗り込み、45分×2本の練習試合に臨んだ鳥取は、前半終了間際にMF安藤一哉がファウルを受けてPKを獲得し、これを自ら決めて先制した。しかし後半の半ばに追い付かれると、終盤にも追加点を奪われ、1-2の逆転負け。15日の練習後に髙木監督は「公式戦であれば勝ち点1も取れていないので、全く良いとは思っていない」と厳しい表情で振り返っている。
手応えを得た面もあった。リードして終えた前半は「プレッシングからロングボールを回収し、加速していく形でPKを取ることができた。そのようなシーンを数回、表現することができた」という。「あと1本パスを通していれば、フィニッシュまでいけるというシーンが数回あった。そこでスコアを動かすことができれば、さらに良い展開に持ち込めたのではないか」という課題も見えたものの、前半の1-0は「妥当だった」というのが指揮官の見立てだ。
ただ、より大きな課題が後半に見えた。「前半はボールを奪った後に前線で基点を作り、多少なりとも我々の時間を作ることができたが、後半、特に選手が代わってからは基点を作れなくなった」と語った髙木監督は、「交代で入った(前線の)選手のパフォーマンスが良くなくて、しわ寄せがディフェンスラインや中盤の選手にいったのは間違いない」と要因を明かしている。
交代で入る選手のパフォーマンスは、90分間で勝ち点を得るための重要な要素だ。にもかかわらず「交代で入った選手の役割のボリュームが、先発で出た選手よりも劣っていた」結果、これが公式戦だと考えれば、敵地で先制しながら、引き分けに持ち込むこともできず。髙木監督は「ガイナーレ鳥取というグループ全体として、京都と比べると劣っていた部分。開幕までに修正したいポイントです」と指摘した。
今回の試合は京都のファンクラブ会員限定での公開ながら、約4000人の観客が集まった。公式戦のような雰囲気の中で、自分たちが目指すカテゴリーのチームと戦ったことは貴重な経験となるはずだ。2016年に湘南ベルマーレのヘッドコーチとして、チョウ・キジェ監督とともに指導したことがある髙木監督は、立ち上がりからスピード感あふれる攻めを繰り出してきた京都について「チョウさんが作った京都の素晴らしさだと思う」とコメント。「それをチーム全員で体感することができた。結果には納得していませんが、そういう試合を戦えたことは、すごく大きな財産になった」と振り返った。
取材◎石倉利英