ガイナーレ鳥取が12月20日、シーズン総括会見を行なった。終盤までJ2昇格を争ったものの、結果は5位。2019年と比べて失点は減ったが、緊張感のある一戦の『次の試合』で逃した勝ち点が響いたと分析している。

上写真=今季の戦いを振り返る髙木理己監督(右)と吉野智行・強化育成部長(写真◎石倉利英)

失点は59から37に減少

 明治安田生命J3リーグでの優勝と、2013年以来となるJ2復帰を目標に掲げてスタートを切ったガイナーレ鳥取は、第3節から第6節まで4連勝を飾るなど、序盤は順調に勝ち点を伸ばしていた。だが中盤以降は勢いが衰え、ブラウブリッツ秋田が早々に優勝とJ2昇格を決めた後も粘りを見せていたが、第32節終了時点で昇格の可能性が消滅。最後の2試合は連勝し、昨季の7位を上回る5位でフィニッシュしたものの、2位のSC相模原とは勝ち点4差で、目標に手が届かなかった。

 昨季、今季とも全18チームのJ3において、昨季は得点49がリーグ7位だった一方、失点59は16位で、失点を減らすことが今季の課題の一つだった。結果は得点が47(7位)と昨季のレベルを維持した上で、失点は37(5位)と大幅に改善。無失点試合が6試合から10試合に増え、1失点の試合は16から10に、2失点以上の試合は17から8に減っており、吉野智行・強化育成部長は「失点を減らすことが勝敗を左右し、昇格を目指す上で大事であると、あらためて思い知らされた。この点は来季もしっかり積み上げていかなければ、昇格はないと再確認できた」とコメントした。

 一方で髙木理己監督は、昇格を逃した要因の一つとして「緊張感のある、張り詰めた試合の『次の試合』で勝てなかった」ことを挙げた。
 
 今季の鳥取は、そうした試合で下位チームに敗れることが多かった。第8節でカターレ富山にホームで2-0と勝利した後、第9節は当時13位のヴァンラーレ八戸にアウェーで0-1と敗戦。第13節で藤枝MYFCをホームで3-1と下した後の第14節は、当時16位の、いわてグルージャ盛岡にアウェーで0-2と敗れた。シーズン終盤も、第28節でAC長野パルセイロをアウェーで1-0と下す貴重な勝利をつかみながら、第29節は当時15位の八戸に1-2で敗れている。
 
 髙木監督は、こうした『次の試合』の結果について「ピンと張り詰めたものを持続させることができなかった。試合として大きく崩れているわけではないが、ワンプレーにはね返り、尾を引いてしまった」とコメント。『次の試合』を見据えて当時の主力を温存したり、よりフレッシュなメンバーを加えるなど起用法を工夫したが、結果につながらなかったと振り返った。

 さらに「張り詰めた状態を次、次へと持続させて、続けることができれば、際の際(きわのきわ)のところのワンプレーで」勝ち点を積み上げることができたと分析。「そういうところで勝ち点が1、3と足りなかったことが、(昇格した2位との)勝ち点4の差に出てしまった」と語った。
 
 それに付随して吉野強化育成部長は、昇格を逃した要因の一つを「際の際のところで、負けない試合ができなかった」と語った。昇格した相模原は、鳥取より1つ少ない16勝だったが、リーグ2位の5敗、リーグ最多の13引き分けと、粘り強く勝ち点を積み上げた。対して鳥取は17勝を挙げながらも、11敗を喫し、引き分けは6だった。

 鳥取は、今季の2位争いが空前の大混戦となったことや、終盤に上位チームとの直接対決が残っており、それを物にしたことで昇格争いに踏みとどまった。しかし吉野強化育成部長は「(昇格を争うチームが)11敗することは、普段の昇格争いではあまり考えられない」と指摘している。
 
 その上で「我々の(クラブの)規模や選手層を考えると、パワーを使わざるを得ない試合はある。どうしても『次の試合』でパワーダウンしてしまうとしても、それがアウェーだとすれば、なおさら負けない試合をする(ことが大事)」と分析。「そうやって勝ち点を少しずつでも積み上げていくことで、昇格争いに絡んでいける」と来季への課題を挙げた。

取材・写真◎石倉利英