今季限りで現役を引退するガイナーレ鳥取FWフェルナンジーニョが、ラストマッチで1得点1アシストの活躍を見せた。試合後は悲願のJ2復帰に向けて、クラブに惜別のメッセージを残している。

上写真=現役最後の試合にフル出場して勝利に貢献したフェルナンジーニョ(写真◎石倉利英)

■2020年12月20日 J3リーグ第34節(@Axis:観衆973人)
鳥取 2-1 熊本
 得点:(鳥)井上黎生人、フェルナンジーニョ
     (熊)浅川隼人

1得点1アシストで「完璧でした」

 12月20日の明治安田生命J3リーグ最終節で、ロアッソ熊本とホームで対戦したガイナーレ鳥取は、2-1で勝利を収めた。今季限りでの現役引退を表明し、この日がラストマッチだった鳥取FWフェルナンジーニョはフル出場。43分にCKをDF井上黎生人に合わせて先制点をアシストすると、56分には自ら2点目を決め、1得点1アシストの活躍で勝利の立役者となった。
 
 得点は、自らの持つJ3最年長得点記録を39歳11カ月7日に更新するもの。試合後のオンライン会見で「最終節でゴールを決めて、勝って昇格を決めることが一番の目標だった」と語ったフェルナンジーニョは、「昇格がなくなった後は、最終節で試合に出て、自分ができる限りのことを、これまでやってきた通りに出して、サポーターの皆さんへの感謝の気持ちを伝えることができればと思っていた」という。

 その思いを見事なプレーで示し、引退に自ら花を添える活躍ぶり。「ゴールを決めて、アシストして、最後を勝利で終わることができた。完璧でした」と自画自賛した。
 
 先制点をアシストした井上は2015年に鳥取に加入し、今季のメンバーでは一緒にプレーした期間が最も長い。井上へのアシストは初めてで「本当にうれしい。自分の心の中に刻まれました」と喜び、「まだ若い選手なので、常にやる気が出るような言葉を掛けていた」と、これまでの道のりを振り返った。
 
 さらに最終節に向けて「彼が『ユニフォームを交換してください』と言ってきた」と明かし、「今日、交換することができました。ましてや彼のゴールをアシストするという素晴らしいことができた」と語った。その上で「今後の活躍を祈っている。もっと良いステージでプレーできる選手だと思うので、活躍を期待しています」とエールを送っている。
 
 フェルナンジーニョが初めて鳥取に加入したのは、J3降格1年目の2014年シーズン途中。J2復帰への切り札として期待され、それに応えるプレーも見せてきた。17年に一度ブラジルに帰国し、18年に復帰して今季まで計6シーズン、プレーしたものの、鳥取はJ3で7年目の今季もJ2復帰を果たせなかった。
 
 J2復帰に必要なことは何だと思うか、との問いに、フェルナンジーニョは「一言で言うなら、勇気です」と即答。「ずっと後ろに構えるというスタイルで戦っていますが、そんなに後ろにいたら攻撃ができない。ましてやファン・サポーターの方々は、そんなサッカーを見たくないと思う」と自身の見解を示した。
 
 今季の鳥取が極端に堅守速攻で戦ったわけではないが、要所で得点できずに勝ち切れなかったのは確かで、じくじたる思いがある様子。フェルナンジーニョは厳しい表情で「J2に昇格したいのであれば、もっと攻撃してほしい」と提言した。

 この日のプレーを見る限り、まだまだ現役でプレーできそうだが、現役復帰はしないのか、との質問に「ありません」と笑いながら返答。「今後の人生のことに集中しています。サッカーは家族と楽しくやれたらと思っています」と語り、この日の引退セレモニーで花束を渡したアナ夫人、長男のサムエルくんとともに、第二の人生へと歩み始めた。

現地取材・写真◎石倉利英