10月のリーグ戦で4試合連続ゴールと調子を上げながらも、脳震とうで離脱を余儀なくされたガイナーレ鳥取FW田口裕也。復帰後はライバルの活躍に刺激を受けながら、昇格争いが佳境に入る今後の活躍を期している。

上写真=11月20日の練習で精力的な動きを見せた田口(写真◎石倉利英)

「本当に悔しかった」

 四日市中央工高(三重)から加入1年目のFW田口裕也は、セレッソ大阪U-23と対戦した6月の明治安田生命J3リーグ開幕戦で、Jリーグデビュー&初ゴールの好スタート。第7節までに3得点を挙げた後、しばらくゴールから遠ざかったものの、第20節からは4試合連続ゴールと調子を上げていた。

 ところが、好事魔多し。10月30日、第24節のC大阪U-23戦に向けた前日練習中に接触プレーで軽い脳震とうを起こし、翌日の試合は欠場を余儀なくされ、チームも0-1で敗れた。さらに11月3日の第25節、アスルクラロ沼津戦も欠場となり、1-1で引き分け。田口は脳震とうを起こした場面について「防ぐことができるプレーでした。試合に出られなくなってしまったので、今後に生かしていきたい」と振り返る。

 11月8日の第26節、Y.S.C.C.横浜で控えに入って復帰を果たしたが、この試合ではFW大久保優が開始21分間でハットトリックを達成する大活躍で、4-1の勝利に貢献。田口は今季チーム最多の7得点を挙げているものの、1試合に2得点以上したことがなく、常々「複数得点を決めたい」と口にしていた。ポジション争いのライバルに先を越され、「もちろんチームが勝ってうれしかったですが、目の前で見ていて本当に悔しかった。モヤモヤしたものが残りました」という。

 鳥取のFWのポジション争いは、開幕から大久保と田口が競り合ってきた。そこに10月、ヴァンラーレ八戸からFW谷尾昂也が完全移籍で加わると、直後から田口が4試合連続ゴール、その後に大久保がハットトリック。それぞれの存在が刺激となり、ゴールにつながる好循環が生まれている。

 ブラウブリッツ秋田の優勝&J2昇格が決まったJ3リーグは、残る1枠の2位をめぐる争いが大混戦となっており、2位から7位までが勝ち点3差の中にひしめいている。3連勝で3位に浮上し、2位のAC長野パルセイロと勝ち点2差の鳥取は11月22日の次節、ホームで八戸と対戦。残り6試合、1試合も落とせないシビアな状況が続く。

 復帰後3試合をすべて大久保との交代で出場し、まだ得点がない田口は「先発で試合に出ることができていない状況を変えるためには、結果を出すしかない」ときっぱり。「一番大事なのはチームが勝つことで、そのために結果を出す。残り6試合で目標の2ケタ得点を達成したいです。とにかくゴールにこだわりたい」と言葉に力を込め、脳震とうからの復活ゴールと、今後の昇格争いへの貢献を誓った。

取材・写真◎石倉利英