ガイナーレ鳥取MF新井光が、アカデミー時代にプレーしたAC長野パルセイロとの一戦で劇的な決勝点。地元への『凱旋試合』で鳥取を勝利に導き、今後の昇格争いでのさらなる活躍を誓っている。

上写真=11月20日の練習で次節に向けて調整した新井(写真◎石倉利英)

「昇格したわけではない」

 11月18日の明治安田生命J3リーグ第28節で、5位の鳥取は2位の長野とアウェーで対戦。試合前の両者の勝ち点差は5で、鳥取は敗れればもちろん、引き分けでもJ2昇格の2位以内が遠のく状況だった。

 試合は終了間際まで0-0で進んだが、4分と表示された後半アディショナルタイムも終わりかけていた90+4分、MF魚里直哉のセンタリングをMF新井光がヘッドで狙い、相手のクリアが再び新井の元へ。トラップから左足を振り抜いたシュートがネットを揺らし、劇的な決勝点で1-0の勝利を収めた。

 混戦の中でのゴール直前の状況を、新井は「ボールが胸のところに来て、自然とトラップできたので、左足を思い切り振りました」と振り返る。この日は81分から交代出場したものの、それまで見せ場を作れなかったが、「1点取れればいいと思ってゴール前に入ったら、こぼれてきた。決めることができてよかった」と土壇場での活躍を喜んだ。

 長野県出身で、中学1年から高校1年まで長野のアカデミーでプレーした新井にとっては『凱旋試合』。現地に行くまで特別な感情は湧かなかったというが「スタジアムに入ったら、懐かしい雰囲気でした。長野のファン・サポーターの方も、試合前に自分の名前が紹介されたときに拍手してくれて、うれしかった」と語る。両親や知り合いも多数スタンドに駆けつけており、「そこでゴールを決めることができて、すごくうれしかった」と笑顔を浮かべた。

 長野との勝ち点差を2に縮め、3位に浮上。J3はブラウブリッツ秋田の優勝とJ2昇格が決まり、残り6試合で2位での昇格を目指すことになる。次節は11月22日、ホームでヴァンラーレ八戸と対戦。「昇格したわけではないし、まだ何も決まっていない」と語った新井は「昇格に向けて1試合ずつ、しっかり戦っていきたい」と、今後の厳しい戦いを見据えていた。

取材・写真◎石倉利英