ガイナーレ鳥取FW田口裕也は、前節まで3試合連続得点もチームの未勝利が続いていたが、4試合連続に伸ばした一戦で、ついにチームも勝利。さらなる活躍を期すとともに、四日市中央工高の後輩にエールを送った。

上写真=10月18日の第22節、ガンバ大阪U-23戦で3試合連続ゴールとなる先制点を決めて喜ぶ田口。この試合も追い付かれて引き分けたが、今節は勝利を手にした(写真◎石倉利英)

「決めなければヤバいと思っていた」

 10月25日の明治安田生命J3リーグ第23節で、ガイナーレ鳥取は藤枝MYFCと対戦。1-1で迎えた後半アディショナルタイムの90+1分、CKのセカンドチャンスからDF石井光輝が決め、劇的な決勝点を奪った。

「『頼むから、誰か点を取ってくれ』と思っていました。光輝さんが決めた瞬間、本当にうれしくて、駆け寄っていこうと思ったら、履いていたスリッパが脱げてしまって」

 FW田口裕也は、その瞬間を笑いながら振り返った。この日は前半アディショナルタイムの45分+2分に先制点を決め、4試合連続ゴールの活躍を見せたものの、77分に交代で退いた後の83分にチームが失点。前節まで3試合連続ゴールを決めながらも、その間は1分け2敗の未勝利で「自分が決め始めてから勝てないことを気にしていた」という。「またか、と思っていた」ときに決まったゴールで鳥取は2-1の勝利を収め、ようやく自身のゴールとチームの勝利を両立することができた。

 先制点は、こぼれ球を拾ったMF三沢直人がドリブルでエリア内に入ってきたところで、ボールを奪うような形から蹴り込んだ。「直人さんと(動きが)重なっていて、ボールに触ってしまいました。これは決めければヤバいと思っていた」という。それでも右足を振り抜き、「ゴールキーパーに触られたので、まずいと思いましたが、入ってよかった」と喜んだ。

「複数得点を決めるのが一番ですが、自分のゴールがチームの勝利につながったことはうれしい」と語りつつ、すでに視線は次節へと向かっている。10月31日の第24節で対戦するのは、セレッソ大阪U-23。中学時代はC大阪西U-15でプレーしたものの、U-18に昇格できなかった田口にとっては因縁の相手で、6月の今季開幕戦ではJリーグデビュー戦で初ゴールを決めている。

「負けたくないのは、どのチームが相手でも同じですが、その中でも一番、負けたくない思いが強いチーム。しっかり結果を出したい」ときっぱり。「J2昇格に向けて、上位との差を縮めるためには絶対に負けられない。連勝のために良い準備をしていきたい」と決意を新たにしていた。

 一方で、母校の四日市中央工高(三重)の後輩にエールを送った。第99回全国高校選手権の県予選に臨んでいる同校は、田口が4試合連続ゴールを決めた25日に3回戦を突破。次も鳥取の試合と同じ31日に、準々決勝で海星高と対戦する。
 
 海星とは昨年度の県予選決勝で対戦し、田口もゴールを決めて3-2で勝利。2年連続34回目の出場となった全国大会ではベスト8まで勝ち進み、田口は通算2得点を挙げる活躍を見せた。

「あの舞台は特別で、プレーすれば一生の宝物になる。後輩たちも出場できるように頑張ってほしい」

 思い出深い高校サッカーの晴れ舞台。そこに母校が名を連ねることに大きな期待を寄せた。

取材・写真◎石倉利英