ガイナーレ鳥取DF井上黎生人が、節目の一戦で躍動した。試合前にJ通算100試合出場の表彰を受け、当日の101試合目は完封勝利。鳥取一筋6年目、苦しい時期を乗り越え、いまや押しも押されもせぬチームの中心だ。

上写真=J通算101試合目の出場となった井上。守備の要として完封勝利に貢献した(写真◎石倉利英)

■2020年9月12日 J3リーグ第15節(@Axis:観衆886人)
鳥取 1-0 沼津
得点:(鳥)フェルナンジーニョ
    (沼)なし

プロ6年目で100試合に到達

 9月12日の明治安田生命J3リーグ第15節で、ガイナーレ鳥取はアスルクラロ沼津に1-0で勝利。3バックの中央で完封勝利に貢献した井上黎生人は「後半、押し込まれる時間帯もありましたが、それでも無失点で抑えることができた。久しぶりの無失点(第10節以来)なので、うれしいです」と静かに語った。

 いわてグルージャ盛岡と対戦した前節で、Jリーグ通算100試合出場を達成。この日の試合前に表彰を受け、鳥取の岡野雅行・取締役ゼネラルマネジャーから花束を受け取ったが、「100試合目より、101試合目の方が大事だと思っていて、自分に言い聞かせていた」と振り返る。岩手戦は0-2で敗れたこともあり、強い思いで臨んだ一戦で「無失点で勝ち点3を取れたのは、僕の人生にとって大きなことだと思います」とコメントした。

 2015年に鹿児島実高から鳥取に加入。松波正信監督時代の1年目はJ3リーグで8試合に出場したが、柱谷哲二監督が就任した16年は公式戦出場ゼロに終わった。それでも17年から再び出場機会を増やし、プロ6年目で100試合に到達。「2年目で0試合を経験して悔しい思いをしたので、100試合はすごくうれしい」とかみしめるように語った。

 昨季はチーム唯一の全試合フルタイム出場。今季もここまで全試合に先発し、チームに欠かせない存在となっている。井上が加入した15年はコーチとして指導していた髙木理己監督は、「あの頃は『ガンガン言われて、練習も厳しかった』と、私がいないところで言っているようですけど」とジョーク交じりに語りつつ、「いろいろな時間を必死にやってきた選手と、再びこうやって一緒に戦うことができている。時を経て、こういう選手に成長するプロセスを一番近いところで見ることができるのは、指導者冥利に尽きる」と喜んだ。

 次節は、前節まで無敗で首位を走るブラウブリッツ秋田とアウェーで対戦する。「毎試合そうですが、まずは自分たちのサッカーをやること」とポイントを挙げた井上は、「秋田は負けていないし、失点も少ないので、タフな試合になると思います。勝ち点3を奪うことができれば、よりチームの勢いも出ると思うので、無失点に抑えて勝ちたい」と、102試合目の完封勝利を誓った。

現地取材・写真◎石倉利英