8月29日の明治安田生命J3リーグ第12節、ガイナーレ鳥取戦で、AC長野パルセイロのMF牧野寛太がJリーグ初ゴール。鮮やかなミドルシュートは勝利にはつながらなかったものの、大きな一歩を刻んだ。

上写真=6試合目の出場でJリーグ初ゴールを決めた牧野(写真◎2008 PARCEIRO)

■2020年8月29日 J3リーグ第12節(@Axis:観衆818人)
鳥取 1-1 長野
得点:(鳥)フェルナンジーニョ
    (長)牧野寛太

「得意なゾーン」から逆サイドへ

 前半から押し気味に進めていたAC長野パルセイロの先制点は、74分に生まれた。左サイドでMF東浩史のバックパスを受けたMF牧野寛太が、ペナルティーエリア外の左角から右足を一閃。ガイナーレ鳥取GK田尻健の頭上を越えて逆サイドのネットを揺らす、鮮やかなミドルシュートが決まった。

「パスを受ける時点でフリーの状態であることは分かっていました。得意なゾーンなので、自信を持って振り抜いた」

 履正社高(大阪)から関西大を経て加入1年目のMFが決めた、記念すべきJリーグ初ゴール。会心の一撃に両こぶしを握り締めてガッツポーズを繰り返すと、チームメイトが次々に駆け寄ってきた。「いままで結果を残せなかった状況での一発だったので、やっと決めることができたという感情がこみ上げてきた。祝福してもらうのはサッカーの楽しさの一つでもあるので、気持ちよかった」と語る至福の時だった。

 前節まで5試合に出場したものの無得点。この日は控えスタートで後半開始から登場し、「いままで何試合か横山(雄次)監督に使ってもらいましたが、結果でチームを救うことができなかった。点を取ることだけを意識していた」という思いを実現した。

 しかし、チームは5分後の79分に失点。牧野は88分にも決定機を迎えたが決められず、1-1の引き分けに終わった。鳥取との勝ち点差5を縮められず、牧野も「3連戦で、勝てば上位に食らいつけるので、絶対に勝たなければいけない試合だった」と厳しい表情で語っている。

 長野は鳥取戦から始まり、9月2日の第13節でFC今治と、6日の第14節でロアッソ熊本と、この3連戦はすべてアウェーという厳しい日程。上位との差を縮めていく上で、待望の初ゴールを決めたルーキーの存在がカギを握ることになるかもしれない。

現地取材・写真◎石倉利英