ガイナーレ鳥取MF安藤一哉が、反省を今後に生かすことを誓った。7月19日のJ3第5節で絶好機を迎えたものの、シュートを打たず悔いが残る結果に。次に機会が訪れたときは、思い切り左足を振り抜く決意だ。

上写真=交代出場が続く現状に満足せず、より多くの出場機会を狙う安藤(写真◎石倉利英)

「あれは絶対に打つべきでした」

 鳥取では初めての有観客試合だったが、収容人数は制限されており(公式記録の入場者数は765人)、応援も拍手のみ。会場はピッチとスタンドの距離が近い、サッカー専用のAxisバードスタジアムで、あらためて考えると、すべての条件が整っていた。

 ガイナーレ鳥取MF安藤一哉の耳には、届いていたという。

「ゴール裏からサポーターの方たちの、ため息が聞こえました。理己さん(髙木理己監督)が『お前の左足シュートを、みんな見たいんだよ!』と怒鳴っている声も…」

 7月19日のJ3リーグ第5節、カマタマーレ讃岐と対戦したガイナーレ鳥取は1-0とリードして、試合終了間際を迎えていた。80分に交代出場した安藤は、後半アディショナルタイムの90+1分に決定機を迎える。MF世瀬啓人とのパス交換でフリーとなり、右サイドからエリア内に侵入。利き足が左足の安藤にとっては角度も良い、絶好のシュートチャンスだった。

「目の前にいる相手のセンターバックは、自分の左足シュートを警戒してくるだろうと思いました。だから、切り返して縦に持ち出すプレーが効くだろうと思ったんですが」

 目の前の相手はかわしたが、後方から追ってきた相手に寄せられ、センタリングを上げられずにゴールキックとなってしまった。次の瞬間に聞こえたのが、ゴール裏のファン・サポーターのため息と、ベンチ前の髙木監督の怒鳴り声。しばらくして髙木監督が「カズ、シュートだ!」と再度怒鳴る声は、見逃し配信中のDAZN中継でも、はっきり聞き取ることができる。

 そのまま1-0で勝ったからこその、笑い話。安藤は「あれは絶対に打つべきでした」と苦笑いで語ったが、「決断して、あそこに行くことができたのはよかった」と、そこに至るまでのプレーには手応えをつかんでいた。

 東京農業大から加入1年目で、開幕戦から控えメンバーに名を連ね、途中出場を続けている。大卒1年目の同期も多くいるが、「他人と比較せず、自分がどうなりたいのかを常にベースに考えている」という。さらに「チームの勝利のために、自分のプレーだけでなく、あいさつ、身の回りの掃除など、プレー以外も意識してやっているつもりです。それが最終的に、自分の成長につながれば」との考えで日々の練習に取り組んでいる。

「次に同じようなチャンスが来たら、思い切り打ちます」と言葉に力を込める。反省を今後に生かし、チームの勝利のために、さらなる成長を期している。

現地取材・写真◎石倉利英