6月27日のJ3リーグ開幕戦、Jリーグデビュー戦で決勝ゴールを挙げたガイナーレ鳥取FW田口裕也。思い描いていた想像を現実に変えて喜ぶ一方、1点だけでは終わらないと、すでに気持ちを切り替えている。

「次に向けて、もう一度」

 プロデビューの直前は「かなり緊張した」と振り返るが、出場後は自身とチームに求められるタスクをこなしつつ、FWの仕事を果たす瞬間を想像していた。

「ピッチに入ったら楽しくて、『ここでゴールを決めたらヒーローだな』と思っていました」
 
 想像を現実に変えた決勝ゴールは、加入後ここまでの練習の賜物でもある。「(3月と6月に)練習試合でサンフレッチェ広島など、レベルの高い相手とやらせてもらい、プロで通用するところと、通用しないところが分かった。通用しないプレーもありましたが、裏に抜けるプレーや、ドリブルなどは通用する自信があった」。プロの厳しさを味わいながらも練習を重ね、出場機会をつかんでチームを開幕戦勝利に導く活躍を見せた。

 周囲からは「天狗になるなよ、と言われている」そうだが、もちろん自分でも分かっている。「まず1ゴール決めることができて、うれしいですが、シーズンを通して決めないと意味がない。ここで調子に乗っていたら、1ゴールで終わってしまう。切り替えて、次に向けて、もう一度。一番若いので、がむしゃらに走って、チームのために戦いたい」。7月5日の次節は、FC岐阜とのホーム開幕戦。昨季までJ2リーグで戦っていた難敵を迎え撃ち、2試合連続ゴールと、勝利への貢献を目指す。

取材◎石倉利英 写真◎石倉利英