6月13日のサンフレッチェ広島との練習試合で、ガイナーレ鳥取GK田尻健は好プレーを見せながらも、勝利に導くことはできなかった。それでも前回対戦からの成長を感じ、27日に迫った今季の開幕への糧とする決意だ。

上写真=ゲームキャプテンとして広島戦に臨んだ田尻(写真◎石倉利英)

「もったいないぞ!」と大

 2試合(45分×4本)行なわれたサンフレッチェ広島とガイナーレ鳥取の練習試合は、第1試合からJ1とJ3のカテゴリー差を示すように、広島の方に多くの決定機があった。そこに立ちはだかったのが鳥取のGK田尻健。多くの難しいシュートを防ぎ、後半途中まで0-0で競り合う展開に持ち込むことに貢献した。

 最終的に0-2で敗れたものの、田尻は試合後に「相手の方がレベルが上でしたが、全く通用しなかったわけじゃない。3月末に対戦したときと比べると、僕たちもやれることが多かった」と振り返った。両者は3月27日にも練習試合で対戦しており、そのときの広島のメンバーは今季の公式戦に先発していない選手がほとんど。それでも、45分×3本の1本目と2本目の90分間で0-4と大敗したことを思えば、今回は手応えを感じられる内容だったと言える。

 負傷明けで第2試合に出場したキャプテンのMF可児壮隆に代わり、キャプテンマークも巻いた。一際大きな声を上げたのは54分、先制点を奪われた直後。敵陣に攻め込んでいる途中のパスの乱れから、一気にカウンターでゴールを割られたプレーの直後、「もったいないぞ!」とチームメイトを叱咤した。

「自分たちのミスから失点して、相手に流れを持っていかれるのが一番、もったいない」と指摘した田尻だが、「でも、ミスをすべてなくせという方が難しい。ああいう状況になったときに、早く(攻撃から守備に)切り替えて、いかに冷静に対応できるかが、リーグが開幕したら大事になってくる」と続けた。ボール支配とリスク管理のバランスはポイントの一つで、「ああいうミスが起こったとしても、消極的な声掛けにならず、チームが落ち込まないように後ろから奮い立たせていくことが大事だと感じた」という。

 ジュニア時代から過ごしたガンバ大阪を初めて完全移籍で離れ、新天地でJ2昇格を目指すシーズン。6月27日の開幕に向けて、「レベルの高い相手と戦って、収穫も課題もあった。残り2週間で、収穫をストロングポイントにしていくことが大事だし、課題もできるだけ克服していけるように、練習から取り組んでいきたい」と今後を見据えた。

文◎石倉利英 写真◎石倉利英