明治安田J2・J3百年構想リーグで最終的に7位で終えたアルビレックス新潟。8月から始まる新シーズンはJ2で戦うが、このハーフシーズンで何を手に入れたのか。複数のポジションではつらつと駆け回った笠井圭佑が語る、新潟の現在地とは。

上写真=笠井圭佑は豊富な運動量を生かしてポジションを確保した(写真◎ALBIREX NIIGATA)

GWからの逆襲

 昨年の無念の降格によって、2026年8月2開幕する2026/27シーズンはJ2リーグを戦うアルビレックス新潟。それに先駆けて行われた明治安田J2・J3百年構想リーグでは、地域リーグラウンドでWEST-Aグループ10チーム中2位となり、プレーオフラウンド第2戦で北海道コンサドーレ札幌に0-0からの延長戦を経て、PK戦に勝利して7位でフィニッシュした。

 目指した優勝は果たせなかった。それでも、大会を折り返したチームの調子は右肩上がりで、ホームのデンカビッグスワンスタジアムでは7連勝をマークするなど、ポジティブに26/27シーズンへと向かえる状況は上々といえるだろう。

 だが、順風満帆の半年間というわけではなかった。クラブOBの船越優蔵新監督のもと、再起のハーフシーズンをスタートさせたチームは、特別大会の中盤までなかなかギアが上がらず、苦しんだ。

 第5節から第10節まで3勝3敗ではあったが、3勝はいずれもスコアレスドローの末にPK戦を制してのもの。90分間での勝利はなく、6試合で挙げた得点は計5点と1試合平均1点に届かない一方で、総失点は7と、攻守に課題があることが数字に表れた。

 特にもどかしかったのが攻撃面だ。都城・宮崎キャンプから縦に速い攻撃が強調されたが、いざ大会が始まると選手たちはなかなかプレーで表現できず、第6節・奈良戦(△0-0)では90分を戦ってシュート0本に終わる屈辱を味わった。

 そんな停滞感に風穴が空き、好転する変化が訪れたのがゴールデンウイークの連戦である。チームが活性化する一つのきっかけが、チームにとって将棋でいう大駒というべき小野裕二、マテウス・モラエスが負傷離脱したことだったのは逆説的だ。

 彼らが特別大会中にピッチに立てなくなってしまった結果、背後への抜け出しを得意とする新潟2年目の若月大和、24歳、トップ、トップ下、ボランチで豊富な運動量を発揮するプロ2年目の笠井佳祐、23歳、藤枝への2シーズンの期限付き移籍から復帰したドリブラーのシマブク・カズヨシ、26歳、そして新潟でプロになって3年目の技術とアイディアに優れた奥村仁、25歳の4人で4-2-3-1の前4枚、アタッカー陣が固定化されたのである。

 4人の攻撃面での持ち味は、それぞれ違いがあった。一方で共通するのが、守備で前から猛烈にプレッシャーを掛ける際の走力と献身。高い位置で奪って速攻のチャンスが増えたのはもちろん、相手に自由な配球を許さず、セカンドボールの回収力を高めて、舩木翔や大会終盤に定位置をつかんだ藤原優大ら、自チームのセンターバックのパス能力をいっそう引き出し、攻撃力がアップする好循環が生まれた。

 特別大会の地域リーグラウンド全18試合とプレーオフラウンド2試合に出場した笠井は、チームの変化を試合のピッチで実感する一人だ。プレーオフこそ無得点に終わったが、地域リーグラウンドでは3得点。何より、攻守で労をいとわない走りがチームの活力になった手応えは、かなりのものがあるのではないか。

 プレーオフ第2戦の札幌戦後に、この半年の新潟の進化を聞いた。

「みんなで笑って終わりたい」

「大会最初は、そもそもフォーメーションが4-1-4-1だったのもあって、ボールを前に運んだり、守備の仕方もちょっと難しいところがありました。そもそも選手同士が遠くて、取った後のボールを受ける距離感も良くなかった。

 でも最近はその距離感が良くなってきたり、カウンターで出ていくときもみんながスプリントして行けるようになりました。優蔵さんは『クロスには絶対4人、ゴール前に入っていけ』と言いますが、日々の積み重ねが試合に出てきているし、チームとして良くなってきたところだと思います。

 守備でもコンパクトに守りつつ、どこかで前から勢いよく追うという部分を、今日の試合でもできました。チームの中で共通認識を持ってやれているのが良かった」

 90分プラス延長の30分でもネットを揺らすことはできなかったが、GKを含めた11人でていねいにビルドアップしてくる札幌に対し、前からの守備がはまったときにはボールを取ったり、ミスを誘発してチャンスにつなげる良い場面も作れた。試合を重ねながら、チームの戦いが確立されていくのを感じられた大会最終戦だった。

「完成度ということでいえば、まだまだだと思います。本気でJ1に戻ることを考えれば、全然足りていないです。ただ、大会を通じて良くなってきた部分ももちろんあるので、そこをさらに伸ばしつつ、課題を改善していくことで来シーズンは良い戦いができるはずです。

 一試合一試合、目の前の試合に勝つために日々の練習をやっていかないと、本当に昇格は無理だと思っています。何より、これだけ多くのサポーターの方々が来てくれるわけだから。そういう中での目の前の一試合であり、シーズン最後、みんなで笑って終わりたいです」

 勝負ごとである以上、勝ちばかり、というわけにはいかない。それでも大会を通して、チームがゴールへの、勝利への執着心をより強く表現できるようになってきたことが何よりだ。チームが進む方向が一つになっていなければ、なかなか発揮されるものではないからだ。

「いま、トップ下で試合に出させてもらっている中で、守備の選手には申し訳ない気持ちです。今日だって僕が決めていれば、僕の近くの(ポジションの)選手が決めていれば、90分で勝つゲームだったと思うので。

 大会を通してクリーンシートが多くて、守備陣には本当に申し訳ない。ただ、やっぱりもっと僕自身が突き詰めていかないと上には行けないと思います。来シーズンしっかり活躍できるように、僕のゴールで1試合でも多く勝てるように、頑張りたいです」

 今大会の半ば、突破口を開いた若いアタッカー陣。そのゴールが、来季のチームを加速させる。

取材・文◎大中祐二