ジェフユナイテッド千葉は2009年に降格し、今季で14シーズン目のJ2を戦っている。Jリーグ開幕30年という節目の年に、オリジナル10と呼ばれるクラブの復活はあるのか? J1復帰へ、いま必要なものは何なのか。

上写真=J2第6節で千葉は岡山と対戦。前半に先制しながら後半に追いつかれ、ドローに終わった(写真◎J .LEAGUE)

ゲームを支配したのは千葉

 25日にJ2第6節が開催された。前節終了時点で19位・ジェフ千葉が、6位のファジアーノ岡山をホーム・フクダ電子アリーナに迎えた。

 岡山は昨シーズン3位で終えてプレーオフに進出して敗れたものの、今季も当然J1昇格を視野に入れた戦いを続けている(2勝2分1敗)。もちろん千葉もJ1昇格が目標だが、昨季は終盤追い上げながら10位に終わり、今季もここまで苦しい戦いが続いていた(1勝1分3敗)。

 ところが、この日90分を通して試合を支配したのは千葉だった。立ち上がりからボールを保持して左右に散らして攻め込み、前半だけで11本のシュートを放った。これに対して岡山のシュートはわずかに2本、ボール保持率でも千葉が60%と上回った。数字が示すように千葉が終始優勢に試合を運び、この試合を見る限りではその順位が逆に見えた。

 後半に入っても千葉のペースは変わらず、55分には中盤でリズム良くパスを回して田口泰士が長いスルーパスを送り、左からダイアゴナルに走り込んだ小森飛絢が受けてGKの出際にシュート決めた。昨季の強化指定選手期間を経て今季新潟医療福祉大から加わった小森は、開幕からの3試合連続ゴールに次ぐ4点目で、この時点で得点ランキングのトップに立った。

 いわゆる得点の匂いをかぎ分けることのできるストライカーで、シュートもうまく、そのバリエーションも多い。

 この日の千葉は前節までの3―5―2から4-2-3-1に変えて小森が1トップを務めた。中盤では田口と小林祐介を中心にボールを動かし、トップ下には今季初スタメンの風間宏矢が入ってライン間でボールを受けてつなぎ役となった。

 また今季いわきFCから加わり、3試合目のスタメン出場となった左サイドバックの日高大が、精度の高い左足キックでチャンスを作るとともに効果的な攻撃参加で、攻撃のアイディアがある見木友哉の動きをバックアップした。

 しかし、多くのチャンスを作り、多くのシュートも放ちながら小森の先制点以外にはゴールが生まれず、74分に見木の鋭いミドルシュートを岡山のGK山田大樹がはじいたこぼれに高木俊幸が詰めた決定機を逃すと、この直後にセットプレーの崩れから同点ゴールを決められてしまう。

 終盤にはどちらにもチャンスがあったが1-1のままタイムアップとなり、千葉にとっては手にできたはずの勝ち点3を逃す試合になった。

内容が結果につながらないジレンマ

 この日の千葉は小林慶行監督が「勝てなかったのは残念ですが、内容としてはやりたいことを選手たちが表現してくれて素晴らしいプレーを見せてくれた」と語ったように、今季就任した同監督の目指しているサッカーができたと言えるだろう。

 中盤では相手のプレッシャーをかい潜ってボールを動かし、両サイドを幅広く使って効果的なクロスも上がった。風間、小森の動きで中央からもチャンスを生んだ。CBの鈴木大輔、田口といったベテランが軸となり、リーダーシップを発揮してチームをけん引しているように見えた。

 ただ、ポジティブな要素が詰まってはいたが、このまま続けていけば事態は好転するのだろうか。という疑念を抱いてしまう。あまりにも長い間、同じような光景を見てきたから、にわかには信じがたいのだ。

 これまでもチーム状態の良い時がありながら、結局昇格争いに加わることなく終わってきた。今季もこの日のようなプレーが続き、それが結果にもつながってくるようなら大いに望みはある。ただ、良いサッカーをしながらも、相手を圧倒する気迫、自信のようなものが感じられなかったことは気がかりだ。

 小林監督は自嘲気味に「あとは監督だけです」と語っていた。あながち的外れな発言ではない。小林監督の発言は自身の戦術的な采配を指したものだったが、長く続くJ2暮らしという状況を脱するために必要な自信を植え付けられるのは、監督をおいて他にいないからだ。

 監督が、熱量のバランスも考えながらチームの戦術も選手のモチベーションも高めなければならない。「オリジナル10」のJ1復帰を望む声は決して小さくない。

文◎国吉好弘