アルビレックス新潟が2023年のJ1リーグに、J2王者の自信を携えて乗り込む。明治安田生命J2リーグ最終節となる10月23日の第42節で、FC町田ゼルビアに2-1の勝利。高宇洋が最高の笑顔を見せたのは自らの充実からだった。そして、J1という未来へのレッスンに心が震えるからだった。

上写真=最高の笑顔で締めくくり。高宇洋は充実の1年を振り返った(写真◎小山真司)

「やっぱり今日は実感がありますね」

 高宇洋は晴れがましい表情だった。

 10月23日のJ2最終節で、Jリーグ通算200試合出場の表彰を受けてからピッチに飛び出すと、FC町田ゼルビアを相手に悠々と駆け回った。2-1で勝ち、J1昇格とJ2優勝を勝利で報告できたうれしさだけではなく、自分自身の充実がその輝かしい笑顔の源だった。

「今日は個人的なパフォーマンスはここ最近で一番よかったと思います。攻守に関わることができたし、ボールを拾うこと、しっかり奪いきれたこと、そこからのつなぎでもほとんどミスなくできていました」

 10月15日に東京ヴェルディで勝てば優勝だったが敗れてしまい、それでも翌16日に2位横浜FCも敗れたために優勝が決まった。うれしかったが、でもやはり、スタジアムで味わう勝利こそがチャンピオンになった高揚感をさらに強めてくれる。

「やっぱり今日は実感がありますね。シャーレを掲げることができましたからね。この前、決まったときは実感がなくて、今日は勝ちきれたことは大きいですね」

 簡単な試合ではなかった。13分に三戸舜介が先制したあと、チャンスがあったのに決めきれずに、38分には同点に追いつかれてしまう。

「前半の入りで相手に押し込まれる嫌な時間がありましたけど、自分たちの矢印が後ろに重くなっていたから。前からのプレッシャーを含めて勢いを持っていこうという話が出て、相手のビルドアップを封じていったことでボールを握る時間が増えたと思います」

 83分にようやく、三戸がこの日、自身2点目を決めて勝利をもぎ取った。

「今年は、あそこでズルズルいかないようにしようという意識がずっとあったので、耐えれば自分たちの時間が来ると思っていました」

 1年を戦ってきて、まさにその最後に「耐えて流れを取り戻して勝ちきる」という、本当に強いチームの証を見せた。

「欲を言えば、前半で試合を決めきれるチャンスはたくさんありました。上の舞台ではそこで決めないと勝ちきれないので、みんなで突き詰めたいと思います」

 単に昇格するだけではなく、J1で戦えるチームを目標にして日々を過ごしてきた。成長した姿を見せることができた喜びはあるけれど、まだまだ足りないことがあるとピッチの上で確認することもできた。それこそが、本当に貴重な未来へのレッスンなのである。

取材◎平澤大輔 写真◎小山真司