「オレが前に行くから後ろは頼むぞ」
左サイドハーフとしてプレーすることで、ゴールに近い場所に出ていけるようになった（写真◎J.LEAGUE）
――金沢では柳下正明監督の下でプレーしています。攻守において個人的にまず強調されるのはどんな部分ですか。
松本 攻撃についてはあまり言われていないですね。自分の武器を出してほしい、というぐらいで。いまは左サイドハーフなので、クロスやシュートをどんどん出してほしいと言われています。
守備については基本的にはマンツーマンなので、自分が決まった相手についていくことが絶対です。あとはいいポジションから守備をしろということはよく言われています。
――守備における「いいポジション」を取るには、攻撃とのバランスが重要になりそうですね。
松本 サイドハーフはまたボランチとは違いますけど、攻めのことも考えながら守備をしている感じですね。ただ、サイドハーフになってからは、そのバランスを考え過ぎずに前に行けるようになりました。ボランチの小野原（和哉）選手はすごく守備的に戦ってくれるので、「オレが前に行くから後ろは頼むぞ」という感じでコミュニケーションを取っています。自分がボランチでもプレーするので、その気持ちもわかりますしね。
――松本選手はサンフレッチェ広島のユース出身で、いま広島のトップにいる東俊希選手、山崎大地選手が同期で、一緒にプレミアリーグで優勝した仲間です。最近の松本選手の活躍を喜んでいるんじゃないですか。
松本 俊希はこの前、LINEをくれましたね。ナイスゴール、って。ありがとう、って返すぐらいですけど（笑）。
――ほかにも、鮎川峻選手が一つ下、川村拓夢選手、満田誠選手は一つ上で、先日戦ったばかりの岡山の仙波大志選手、山形の川井歩選手も一つ上で、ほかにも素晴らしい仲間に囲まれてきましたね。同世代の広島ユース出身の選手で、いまでも刺激を与え合っているのではないですか。
松本 広島の試合は毎試合、必ず見てるんですよ。そこで得点したりして活躍するのを見ると、すごいなと思いますし、自分も頑張らなきゃと思わされますね。
――いままさに、その活躍を見せて9月のMVPですからね。この賞もそうですが、試合に出続けていることがプロになって初めての経験となりますが、そこで見えてきたものもあると思います。
松本 そうですね。やっぱり試合を重ねないと分からないことはたくさんありましたし、試合に出る大切さを感じています。
――ところで、現在シーズン7ゴールで、チームトップは林誠道選手の11。並びたいですね。
松本 もちろん狙いたいとは思いますけど（笑）、それを一番に考えてエゴを出すのはチームにとって良くないことなので、来たチャンスを確実に決めたいと思います。
取材・構成◎平澤大輔
※文中の記録などはすべて10月6日の取材日現在のものです
まつもと・ひろや◎2000年8月10日生まれ、東京都出身。横河武蔵野FC Jrユースからサンフレッチェ広島ユースに加わると、高3時の2018年に高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグでキャプテンとして優勝を手にした。同年9月にプロ契約。21年には大宮アルディージャへ、22年はツエーゲン金沢へ期限付き移籍した。左サイドハーフとしてプレーすると得点力が目覚め、8試合6ゴールで終盤のチームの好調を支えている。180cm、73kg