明治安田生命J2リーグ第40節で10月9日、2位の横浜FCが5位の大分トリニータを迎えた。勝てば昇格が決まる横浜FCは2度のビハインドを小川航基のゴールで追いついたものの、もう1点を許して2-3で4試合ぶりの黒星。それでも次節に勝てばその時点で昇格が決まる。勝った大分はプレーオフ進出の6位以上を決めた。

上写真=野村直輝が豪快な決勝点を決めてサポーターの元へ!(写真◎J.LEAGUE)

■2022年10月9日 J2リーグ第40節(ニッパツ/7,961人)
横浜FC 2-3 大分
得点者:(横)小川航基2
    (大)梅崎司、下田北斗、野村直輝

「次のホーム最終戦で昇格を」と四方田監督

 横浜FCは敗れて昇格を決められず、大分トリニータは勝利を収めてプレーオフ進出を決定。明暗を分けた雨の90分となった。

 試合はアウェーの大分のゴールで始まった。右サイドに展開して井上健太がクロス、中央に潜り込んだ梅崎司がヘッドでたたくと、きれいな弧を描いてゴール左に吸い込まれる先制ゴール。開始わずか5分で試合が動いた。

 もちろん、横浜FCもエースが黙っていない。22分、最終ラインからガブリエウが鋭いくさびのパスを打ち込むと、マルセロ・ヒアンが優しく落として小川航基がフィニッシュ、DFにブロックされたものの、このボールが小川の左足の前にこぼれてそのままゴール左へ蹴り込んだ。

 次のゴールは大分のもの。45分、ゴール中央付近からのFK。下田北斗が左足で壁を越してゴール左に送り込む優しいキックで決めて、1点をリードして後半へと折り返した。

 すると、再び横浜FCが追いついてみせる。またしても小川だ。左サイドで和田拓也がハイプレスで奪いきって、そのままドリブルで持ち込んで折り返すと、中央で齋藤功佑が落ち着いてスルー、逆サイドから入ってきた小川が確実に蹴り込んだ。

 これで終わらないのがこの熱戦だ。大分がゴール前まで押し込んで、横浜FCがクリア、これをマルセロ・ヒアンが収めて逆襲といきたかったが、ポストになって落としたボールがずれてしまう。代わったばかりの大分の野村直輝が拾うと、20メートルほどの距離から左足で豪快に突き刺して、72分にまたも大分がリードを奪ったのだ。

 残りはほとんどが横浜FCの攻撃の時間となったが、大分が最後の最後まで粘って粘って1点のリードを守りきり、3-2で逃げ切りに成功した。

 横浜FCはJ1昇格決定を次節以降に持ち越しとなった。とはいえ、2度のリードを追いついて、その後も攻め込んだ戦いぶりに、四方田修平監督に悲壮感はなし。「大分が自陣からショートパス主体で組み立てるチームで、押し込まれると奪えないのでチャンスがあれば奪いにいこうとしていて、前後半ともに出し続けて相手を嫌がらせたと思います」と手応えはあった。

 3位ファジアーノ岡山とは勝ち点5差で残りは2試合。四方田監督は「1週間、持ち越しになりましたが、次のホーム最終戦で昇格を決めることができるように一丸となって臨みたいと思っています」。次節は10月16日の18時から行われるツエーゲン金沢戦だが、14時から先に始まる岡山がブラウブリッツ秋田に引き分け以下なら、その時点で昇格が決定。岡山が勝った場合でも横浜FCは勝てば決まる。

 大分は勝ち点を66に伸ばして、昇格プレーオフ進出を決定、残り2試合で数字の上では3位まで浮上する可能性がある。昨季途中まで横浜FCを率いていた大分の下平隆宏監督は、懐かしのスタジアムに帰ってきて、充実の勝利を手にした。プレーオフに向けては「戦い方を変えることはありません。横浜FCに勝てたことは、プレーオフに向かう上で自信になる大きな1勝になりました。ただの勝ち点3ではなく、プレーオフへ勢いづける勝ち点3です」と胸を張った。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE