明治安田生命J2リーグ第39節で注目の対決の一つが、モンテディオ山形対アルビレックス新潟の一戦。7位からプレーオフ圏内を狙う山形が、首位を走って昇格が見えてきた新潟を迎えた90分は、どちらも特徴を生かし合う好ゲームに。結局、1-1のドローに終わった。

上写真=新潟は追いついたものの勝ち点3は持ち帰れなかった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年10月1日 J2リーグ第39節(NDスタ/12,072人)
山形 1-1 新潟
得点者:(山)ディサロ燦シルヴァーノ
    (新)谷口海斗

「内容には不満」と松橋監督

 ともに横浜F・マリノスでコーチを経験した、山形のピーター・クラモフスキー監督と新潟の松橋力蔵監督。攻撃サッカーを標榜する「似た者同士」の対戦は、それぞれが特長を輝かせながら攻め合う興味深いゲームになった。

 キックオフから山形のハイプレスをかわした新潟がリズムをつかみかけるが、山形が少しずつ盛り返す展開。狭いところを突き崩そうとする新潟に対し、山形は横に動かすミドルパスで「広さ」を生み出してチャンスを作っていった。

 34分の先制ゴールはそのパターン。山形の右CKは一度ははね返されるが、クリアボールを拾って右から國分伸太郎が逆サイドへロングキック、松本怜大がヘッドで中央へ落とすと、山田康太が触って最後はディサロ燦シルヴァーノが巧みに左足アウトサイドで流し込んでみせた。

 新潟としてはシュート0本とナイーブな前半だった。後半開始から1トップに谷口海斗、左サイドハーフに小見洋太を投入して、攻撃をリフレッシュ。これで後半は新潟の攻勢になった。伊藤涼太郎のミドルシュートや谷口の裏抜け、三戸舜介のミドル、小見洋太の突破など、前線が生き生きとゴールを目指すようになった。そして、前半にも見せた狭い場所を崩す攻撃が、ついに実を結んだのが85分だった。

 左サイドから、堀米悠斗、高宇洋、谷口海斗、堀米と細かくつなぎ、最後は谷口が右側に持ち出してから、右足で相手の足下を抜いてゴール左に滑り込ませるようなフィニッシュ。コンビネーションとシュートテクニックが融合した新潟らしいゴールだった。

 試合はこのまま1-1で終了。どちらも技術を駆使して真っ向勝負した好ゲームだっただけに、スコアは妥当かもしれないが、どちらにとっても物足りない。新潟はこれで今節での昇格はなくなり、山形もプレーオフ圏内の6位に入れないままとなった。

 新潟の松橋力蔵監督は選手のあきらめない姿勢を称えたものの、「内容に対しては不満の残るゲームだった」と一喝。「2次攻撃、3次攻撃と厚みのある攻撃につながらなかった」といつものような即時奪回が見られなかったことを反省点に挙げた。

 山形のピーター・クラモフスキー監督も手応えを感じつつも、勝ち点1に留まったことに「ペナルティーエリア内にも入ることができていたが、決定的なところで欠けていたのは残念」と悔しさをあらわにした。