明治安田生命J2リーグで首位を走る横浜FCは、8月20日の第32節で4位のファジアーノ岡山に苦しめられながらも1-0で勝利を手にした。決勝ゴールは鮮やかなカウンターから。交代で入った山下諒也が決めきったのだが、今季2点目のこの一発、山下の中では「初ゴール」なのだという。

上写真=山下諒也が「自分の中では初ゴール」という今季2点目で勝利!(写真◎J.LEAGUE)

■2022年8月20日 J2第32節(ニッパツ/4,611人)
横浜FC 1-0 岡山
得点者:(横)山下諒也

「無我夢中なので打った瞬間に入ると」

 ファジアーノ岡山のタイトな守備に苦しめられた横浜FCは、0-0のまま進んだ64分に山下諒也と山根永遠をピッチに送り込んだ。クイックネスに優れる2人である。目的はもちろん、ゴール。

 その7分後のことだ。相手のCKのこぼれ球を松浦拓弥が前に送ると、そこに山根が反応して迷いなくドリブルで突き進む。カウンターの発動だ。山下は右から並走して「来い、寄越せって全力で言っていました」と大声でボールを呼び込むと、ペナルティーエリアに入ったところで右足を振った。GK堀田大暉の手に触られたが、そのままゴールに飛び込んだ。

「ああいうときは不思議で、キーパーにはじかれましたけど、無我夢中なので打った瞬間に入るとはわかりました」

 まさに、確信のフィニッシュ。「途中交代の選手がああいう状況で力を発揮できるのはチームの力だと思っているので、結果になってうれしい」と、松浦、山根、山下と、途中交代の3人がつながって生まれた決勝ゴールを喜んだ。

 前節のザスパクサツ群馬戦も難しい戦いを強いられたが1-0で勝ちきって、2試合連続の「ウノゼロ」になった。もちろん、複数ゴールを挙げて余裕の展開で勝てればそれに越したことはないが、「均衡した試合で勝ちきれるのは、チームにいい流れが来ているということ。一戦一戦、全力で引き締めて戦うだけです」と充実感を漂わせる。

 ところでこのゴールは、山下にとって今季2点目だ。1点目は第3節の大分トリニータ戦で右足で蹴り込んだが、このときは直前にその右足のスパイクが脱げながらプレーを続けて決めていた。

「あれは僕の中ではゴールじゃないので、これが初ゴールです」

 そんなふうに笑わせてから、あたりを見回しながら感情を込めて話す。

「みんなが喜んでいる顔を見ると、勝つって最高だな、と思います。だから、自分が勝利に貢献できるプレーを、残り試合でもやっていきたいですね」

 みんなのために、が、山下の原動力だ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE