明治安田生命J2リーグで16位の栃木SCが2位のアルビレックス新潟を迎えた一戦。ホームチームが主導権を握りながら試合を進めたものの、新潟がチャンスに確実に決めて2-0で勝利。4試合ぶりの白星を手にして、暫定ながら首位に返り咲いた。

上写真=2点目を決めて勝利を引き寄せた藤原奏哉が勝利に笑顔(写真◎J.LEAGUE)

■2022年8月14日 J1リーグ第31節(カンセキ/7,809人)
栃木 0-2 新潟
得点者:(新)鈴木孝司、藤原奏哉

「悔しさを刻もう」と時崎監督

 前半に攻勢に出たのはホームの栃木だ。新潟が珍しくボールをつなぐ場面でミスが相次ぎ、それを逃さずに引っ掛けて前に出ては、相手陣内へとなだれ込んでいった。

 1トップの矢野貴章のシャドーの大島康樹と森俊貴が最終ラインに圧力をかけ、サイドバックに逃がそうと狙ってきたパスコースは両ワイドの黒崎隼人と福森健太が抑えていて、新潟のリズムをストップ。攻めては10分に神戸康輔のミドル、11分にデザインされたCKから大島のクロスに鈴木海音が飛び込むがわずか触れず、というチャンスを作った。

 しかし、先制したのは新潟だった。40分、相手のパスミスを見逃さず、この試合が移籍後初出場初先発となったセンターバックのトーマス・デンがすかさず前へ、伊藤涼太郎がターンして前に送ると、最後は鈴木孝司が左足で鋭いシュートをゴール左にたたき込んだ。

 後半に入っても、テンポを握ったのは栃木。64分には西谷優希がゴール前に迫って左足で狙い、4分後にもゴール中央の狭いところに持ち運んだ谷内田哲平がこちらも左足でシュートを放った。いずれもGK小島亨介に阻まれたが、あと一歩のところまで迫ってきた。

 しかし、またもやゴールを奪ったのは新潟なのだ。86分、中盤のプレスで奪った高宇洋が一度つないでから受け直してすかさず右のオープンスペースへ、松田詠太郎が抜け出して中央へ送ると、右から走り込んできた藤原奏哉がダイレクトでゴール左に流し込んで、自身3試合連続ゴールで突き放してみせた。

 このまま新潟が逃げ切って2-0で勝利。声出し応援運営検証試合となったゲームで、2020年2月以来に声を枯らして後押ししたサポーターに4試合ぶりの白星を届けた。松橋力蔵監督は「攻めあぐねているように見える部分もありましたが、相手の守備が堅いのはわかっていました。ピンチで失点せずに、ここ数試合は先制されていたけれどリズムを崩すことなく、1点をもぎ取ることで勢いづきました」と冷静に試合を運んだ選手たちを称えた。

 栃木にとっては、多くの時間帯で流れを握っていただけに、悔やまれる。ただ時崎悠監督は「苦しい時間帯はこちらにも相手にもあって、ピンチでもチャンスでも相手は体を張っていたし、新潟さんはゴール前に出ていくところで、うちはスピードを落としてしまいました。そういうところは学ばなければいけないですし、自分たちが大事にしている部分を上回られたことで悔しさを感じ取って刻もうと話しました」としっかりと課題を見据えていた。