明治安田生命J2リーグは第27節を迎え、7月16日にツエーゲン金沢とアルビレックス新潟が対戦した。前節で勝ち点で横浜FCに並んで得失点差で上回り、首位に復帰した新潟はこの日も危なげなし。鈴木孝司が2試合連続2ゴール、高宇洋が今季初ゴールを決めて、3-0で完勝した。

上写真=鈴木孝司がサポーターにハートのポーズでゴールを喜び合った(写真◎J.LEAGUE)

■2022年7月16日 J2リーグ第27節(石川西部/5,574人)
金沢 0-3 新潟
得点者:(新)高宇洋、鈴木孝司2

「2点目と3点目は気にしないでいい」と柳下監督

「90分を通して見れば、攻めるときにしっかり攻める、守るときにしっかり守ることで、3-0というスコアになったと思います」

 アルビレックス新潟がアウェーゲームを3-0できっちりまとめて首位堅持。松橋力蔵監督が充実の表情で語ったこの言葉がすべてで、危なげなく勝ち点を54に伸ばした。

 後半途中の一部を除き、ほとんど新潟のペース。数え切れないほどのチャンスがあって、だからこそ3点だけではなくもっとゴールを奪うべきだったかもしれないが、得点を奪った時間も中身も十分に納得のいくものだった。

 序盤から攻めに攻めて、先制点は29分。右サイドを藤原奏哉のスルーパスで割って、ニアゾーンに入った松田詠太郎が中へ、相手に当たってこぼれたボールを高宇洋がペナルティーエリアの手前から右足でうまく左に転がすシュートを放ち、左ポストに当たったボールがゴールに転がり込んだ。しっかりと相手を押し込んで崩してから、ていねいなフィニッシュ。この右からの崩しが、次のゴールにもつながっていく。

 後半が始まってもボールを動かして進入していく中で、早々の46分、島田譲のパスで右を抜けた松田が縦に突破したところで倒されてPKを獲得。これを鈴木孝司がゴール右にていねいに決めて、後半に盛り返したい相手の出鼻をくじく追加点が生まれた。

 新潟はこれまでは左を崩すパターンが得意だったが、その主役の本間至恩がベルギーの名門、クラブ・ブルージュと正式契約したことが試合前に発表された。前節では再三、その左を攻略したが、この日は右サイドが輝いた。

 ここから金沢が交代選手をうまく使いながら、押し込む時間が続いた。だから、82分に新潟が決めたダメ押しゴールは大きかった。相手の縦パスのミスを高がワンタッチで左のオープンへ、受けた小見洋太が中へ入っていくと、ニアに島田譲が走り抜けて相手を引き連れて、空いた右に鈴木が開いてパスをもらうと、トラップから左足で冷静にゴール左に流し込んだ。

 スコアも内容も完勝だが、もちろん松橋監督は満足していない。後半に押し込まれたことについては「2点リードして、守備の部分でどのように自分たちの攻撃につなげるのか。足が止まったのか共有できなかったのかは、選手と話して次につなげたい」と話した。停滞した後半にピッチの中で何が起きていたのか、その現実を選手の目線からも理解した上で、次への糧にすることを目指す。

 その時間帯は、金沢にとっても次への光になる。柳下正明監督は「2点目と3点目は気にしないでいい」と選手に伝えたという。

「いくつか修正するところはあって、前半も怖がらずに前の4人、5人が下がらずに前からコントロールしながらやってくれればあれだけ押し込まれることはなかった。でも、後半は相手の疲れもあったけれど、ボールを持ったときにいい距離でプレーすればチャンスは作れているので、続けていこうと伝えました」

 柳下監督は古巣からの黒星を、ポジティブに受け止めていた。