明治安田生命J2リーグは6月25日、26日に第23節を迎えた。猛暑が全国を襲う6月最後の週末で、最大のビッグマッチは首位決戦だ。2位横浜FCが首位アルビレックス新潟を迎える一戦。勝ったほうが首位に立つという緊迫のゲームは、横浜FCが鋭く攻めて守って2-0で勝利を収めた。

上写真=数多く詰めかけた新潟サポーターの前で、渡邉千真が待望の追加点。横浜FCが首位決戦に勝利を収めた(写真◎J.LEAGUE)

■2022年6月26日 J2リーグ第23節(ニッパツ/9,100人)
横浜FC 2-0 新潟
得点者:(横)小川航基、渡邉千真

新潟は3月30日以来のノーゴール

「あの悔しさは忘れていないので、リベンジしたい。戦う姿勢を全面に出してやっていく」

 試合前、四方田修平監督が言い切った。1カ月前、横浜FCはアルビレックス新潟との前回対戦で、アウェーで0-3の完敗。負けたままでは引き下がらないファイティングスピリットが、横浜FCを貫いた。

 キックオフから激しいボールハントを繰り返す。取り切れなくても、ルーズボールにしてしまえば横浜FCの勝ち。新潟にテンポよくボールをつながせずに済むからだ。

 気温28.9度、湿度55%という厳しいコンディションを感じさせない激しさは、ともに行きすぎるシーンもあって荒れ気味になったが、首位攻防にふさわしい見応えたっぷりの90分になった。

 緊迫感を高めたのは、2位の横浜FCに先制ゴールが生まれたからだろう。19分、新潟のDFラインの前を右から横へ、イサカ・ゼイン、渡邉千真、小川航基、そして左の長谷川竜也へとつないだ。長谷川がカットインしてインスイングのクロスを送ると、DFの背中側から前に出た小川にピタリと合って、ヘディングシュートがGK小島亨介の右手を弾いてゴールに転がり込んだ。

 1点を追いかける新潟が後半に押し込むのは自然のことだが、横浜FCが高い強度で応戦し、一歩も譲らない。そしてこのチームには、GKスベンド・ブローダーセンがいる。

 58分、新潟の左からの堀米悠斗のセンタリングを中央で松田詠太郎がワンタッチで落とし、これを本間至恩が右足で巻くようにシュート。見事に入ったと思った次の瞬間、ブローダーセンの右手がぐっと伸びてかき出した。

 このビッグセーブもあって、守備でリズムをつかんで勢いを失わなかった横浜FCは70分、ついに待望の追加点を手に入れる。長谷川竜也が右に柔らかく送ると、ペナルティーエリア右でフリーで受けた渡邉千真がじっくり時間を使って右足でゴール左にずばりと蹴り込んだ。

 このあとも守り抜いた横浜FCが逃げ切って、2-0で勝利。前回の完敗のリベンジを果たし、新潟を1ポイント上回って第14節以来の首位返り咲きに成功した。

 四方田監督が勝因の一つに挙げたのは、最後まで集中して新潟にスキを与えなかったこと。「押し込まれた時間が長くて苦しかったが、スイッチを入れて奪いにいくところは奪いにいく、奪えないときにはゴール前でしのぐというところは90分通してやり続けてくれた」と選手を称えた。

 敗れた新潟の松橋力蔵監督は、16試合ぶり、3月30日以来のノーゴールに悔しさを隠さない。「ボックスの中に入る勇気はありましたが、最後の一本のパスが通らなかった。そこが難しければ、相手を広げてどう入っていくか」と中央を堅く閉じられた守備の崩しの手法をもう一度、研ぎ澄ませることを誓った。

 厳しい戦いはまだ続くが、今後のJ2のリーダーとなるはずのチーム同士の戦いは、9100人の観衆を十分に魅了した。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE