明治安田生命J2リーグは5連戦の真っ最中。ジェフユナイテッド千葉はその初戦となる第11節で東京ヴェルディと引き分けたが、先制ゴールのきっかけになったのが福満隆貴のパスだった。持ったら前へ、という日頃の意識が先制点を演出した。次のレノファ山口FC戦では自らのゴールを!

上写真=福満隆貴は東京V戦で先制ゴールを演出。櫻川ソロモンへのくさびのパスが効いた(写真◎J.LEAGUE)

「内容よりも結果にこだわって」

 ジェフユナイテッド千葉が東京ヴェルディから奪った52分の先制点は、福満隆貴のパスから始まった。「前を選択する」の意識が効いた。

 自陣右サイドでボールを持った福満はハーフウェーライン手前に降りてきた櫻川ソロモンに向かって、左斜め前へとくさびのパスを打ち込んだ。櫻川はこれをワンタッチで右のオープンスペースに流し込む。高木俊幸が走り抜けて、そのままゴールへ一直線、GK高木和徹との1対1を制して右足で蹴り込んだ。あっという間の先制ゴールだ。

「ボールを持ったときに前があいていれば前を選択することは常にしているんです。いいタイミングでソロモンが受けに来てくれて、ワンタッチでよく出してくれたと思います」

 前を向いたらゴール方向へ。その日常の意識によって、櫻川の動きを見つけることができた。

「相手のサイドバックが僕にプレッシャーに来ましたけど、背後は空いているとスカウティングにあったのでうまく突けました」

 自陣のミドルゾーンで新井一耀から受けたときに、東京Vの左サイドバック、 深澤大輝が猛然とボールを抑えに来た。その矢印を逆に外すように素早く櫻川に送ったというわけだ。千葉は3-4-2-1の並びで、福満は「4」の右のウイングバック、東京Vは4-3-3で深澤は「4」のサイドバック。その微妙な立ち位置のギャップが吉と出た。深澤から福満へは距離があったから、おびき寄せて裏のスペースを空けさせつつ、落ち着いて周囲の情報を確認する時間ができたのだ。

「パス2本でゴール前まで行けるのは攻撃としては一番速いので、そういうシーンを増やしたいですね」

 この前節の大宮アルディージャ戦では、相手が未勝利だったこともあってしっかりと自陣に構えて千葉の攻撃を引き込む守り方をしてきた。ボールは持てるがスペースはない。しかし、東京Vは攻撃に自信を持ち、自分たちの意志でボールを動かしてくるチーム。だからちゅうちょなく前に出てきて、その裏にスペースが生まれる。そこを3人で突くことができた。尹晶煥監督がいつも求める「コンビネーションプレー」である。

 千葉に移籍して1年目の昨年は、夏以降にポジションをつかんでから手放していない。今季ももちろん、全試合先発だ。東京V戦では終盤に追いつかれて1-1のドローに終わったが、主力としてはここからのホーム連戦でファン・サポーターと喜びを分かち合いたい。

「次はホームなので、サポーターの皆さんの前でいいサッカーをして、でも内容よりも結果にこだわって勝つことを目指したいと思います」

 持ち味のアップダウンで激しく守ってからチャンスは作っているし、そろそろゴールが生まれてもいい頃。

「もっとゴール前に入っていったり、ゴール前にいいボールを供給できるようにと考えています」

 福満の今季初ゴールで勝利に導くことができれば、最高だ。