上写真＝追加点を挙げた伊藤涼太郎を中心に喜びの輪。新潟がようやく初勝利（写真◎J.LEAGUE）
■2022年3月19日 J2リーグ第5節（デンカS/7,983人）
新潟 2-0 甲府
得点者：（新）谷口海斗、伊藤涼太郎
（甲）なし
「率直に完敗だったなと思います」と吉田監督
これぞ快勝！ アルビレックス新潟がようやく今季初勝利を手に入れた。
初ものづくしだった。26分の谷口海斗のゴールは今季自身初で、アシストした松田諒太郎は移籍後初スタメンで初アシストだ。チームとしても先制に成功したのは今季初めてのことで、前半に決めたのも同様。5分後に追加点が決まって2点差も今季初、決めた伊藤涼太郎も自身移籍後初ゴール、堀米悠斗のアシストも今季初だ。
これだけ「初」が続いたのもここまでの4試合で苦しんだからだが、一転、この甲府戦は特に前半は面白いようにボールも人も動いた。じっくり回す昨年までのスタイルと、裏のスペースにどんどん滑り込ませて相手の勢いをひっくり返す縦への速さのハイブリッド。それがことごとくハマった。
26分の先制ゴールはハイプレスからのショートカウンターだ。伊藤が強奪、松田が縦に持ち出して角度をつけてマイナスに折り返すと、中央で谷口が確実にプッシュした。31分の2点目は気持ちの良い連動から。自陣から舞行龍ジェームズがセンターサークル手前の谷口にミドルパス、素早く左に展開すると、本間至恩がドリブルで外から中に一気に突き進んだ。空いた左外をロングランで駆け上がった堀米悠斗に預けると、ワンタッチでループ気味のクロス、これを伊藤が右足ボレーでずばり突き刺した。
甲府も悪くはなかった。失点の時間帯こそミスが続いたが、狙いを持ってボールを動かし、中でも山田陸が中盤で積極的にボールに絡んでテンポを上げていく。ただ、ゴールに近づくほどボールと体が離れてそこを新潟に狙われる状況に。24分に長谷川元希のミドルシュートがバーをたたくなど、見せ場も作ったが、攻撃でも細かなミスに泣くことになった。
後半は開始から2人を同時投入してリフレッシュ、右の関口正大、左の須貝英大の両ワイドでポイントを作ってから中央に進入する機会を増やして新潟を押し込んだ。それでも吉田達磨監督は、かつて監督として率いた古巣との勝負を「完敗でした」と表現した。
「率直に完敗だったなと思います。サッカーには前半も後半もあって、後半に盛り返したように見えますが、前半に後ろ向きになってしまったところにプレッシャーを受けてピンチを作られて、失点までいってしまった」
ミスがゴールに直結する怖さを敵地で味わうことになった。甲府のノーゴールは今季初だった。
新潟にとっては、5試合目にしてようやく初白星を手にした。
「いつか来るだろう、ではなくて、1勝を新潟の皆さんの目の前で手繰り寄せようと強い思いを持って今日の試合に挑むことができました」
松橋力蔵監督はまずは心の強さを勝因に挙げた。ここまでも内容は悪くはなかったが勝ちに届かず、あと一歩を踏み出すパワーをそのハートに求めていた。配置にも微調整を加え、ここまでの4-3-3から、中盤でボランチを2枚併用する4-2-3-1と昨年までのベースを採用して安定感を高めつつ、前半の2得点で一気に勝利へと近づいた。後半に押し込まれたのは「前半から飛ばしていたというか、ボールを握ったり縦に速い攻撃もあって、フィジカル的な要素がありました」と疲れからくるものだと振り返っている。
そんな松橋監督にとっても、うれしい「監督初勝利」である。
写真◎J.LEAGUE