3月13日に行われた明治安田生命J2リーグ第4節は、ブラウブリッツ秋田にとってホーム開幕戦。冷たい雨が降り続ける中、迎えたアルビレックス新潟から71分に吉田伊吹が決めた1点を守りきって、1-0で逃げ切りに成功、前節に続いて勝利を手にした。新潟は初黒星。

上写真=ピッチ脇に雪が残る中、秋田が吉田伊吹のゴールでホーム開幕戦勝利!(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月13日 J2リーグ第4節(ソユスタ/1,976人)
秋田 1-0 新潟
得点者:(秋)吉田伊吹
    (新)なし

「勝ちに値するような」と松橋監督

 気温5.2度。冷たい雨でピッチが重い。ブラウブリッツ秋田のホーム開幕ゲームとなったJ2第4節、アルビレックス新潟との一戦は、大きく異なるチームスタイルのメリットとデメリットが交錯し合うことになった。

 秋田にとってはパワーとロングボールとのかけ合わせが、ピッチの悪コンディションに関わらず生きた。キックオフから攻勢に出て、開始7分間で5本のCKを獲得するなど、新潟ゴールの近くでプレーを続けた。41分には右CKの流れから、飯尾竜太朗のクロスを小柳達司がボレーで狙ったシーンもあった。

 新潟は苦しんだ。ボールを走らせるのが得意なだけに、水たまりにボールの勢いが吸い取られていつものテンポが生まれない。こちらも38分にCKからクリアが短くなったところで伊藤涼太郎が左足ボレーで狙うが、ゴールの上へ。松橋力蔵監督も「ここに来た時点でやりたいサッカーが100パーセントできるわけではないと思ったので、割り切りは必要でした」と話したが、それが後半に生きてくる。

 風上に立つ後半に向けて、松橋監督が伝えたのは相手の守備ラインの背後を積極的に狙うことだったという。ドリブルで突き進むところでファウルを受けた高木善朗が、FKで強烈に狙った47分、右から再びドリブルですり抜けた高木が自らシュートを放った49分、左からは伊藤が47分と57分にペナルティーエリアの中でチャンスメークするなど、インサイドハーフの2人の活躍を中心にゴールの匂いを漂わせた。

 時間を追うごとにグラウンドの状態は悪化するものの、最終ラインも恐れずにプッシュアップ。攻撃的な意欲がコンパクトな陣形にも表れた。しかし、結果的にその裏が秋田にとって格好のスペースになった。

 71分、秋田は左サイドで武颯が受けてから守備陣の背後のスペースに縦パスを滑り込ませると、吉田伊吹が飛び出した。後手に回った新潟の守備陣を振り切り、飛び出したGK小島亨介を左にかわして左足で流し込む先制ゴールが生まれた。「颯選手が前を向いた瞬間に裏を取れるとイメージできて、イメージ通りのボールが来て、キーパーの動きも見て冷静に判断することができました」。吉田も自画自賛の落ち着き払ったゴール。武も吉田も63分に入ったばかりで、いきなり結果を残した。

 ここからは、新潟が猛攻だ。これで3試合連続でビハインドを負う展開となったが、過去2戦は追いついている。この日も75分に右サイドを高木の突破から三戸舜介に広げてセンタリング、86分には千葉和彦のパスから本間至恩が左を突破、直後には長谷川巧のミドルシュートがこぼれてきて本間が至近距離から狙い、87分にはこれで得た左CKから舞行龍ジェームズがヘディングシュート、90+3分にも左サイドを高木が破って折り返したあとのこぼれ球を千葉がフィニッシュ。さまざまに攻め立てたが、どうしても1点が奪えなかった。

 秋田の吉田謙監督は改めて「一体になって団結して走ってくれました」と一体感の勝利を強調。「皆様の雪を溶かす熱い思いがあって選手は走ることができました。感謝しかございません」と、ボランティアによる雪かきのおかげで試合を開催できたことにも感謝を忘れなかった。

 松橋監督は今季初黒星にも下は向かない。「選手は勝ちに値するようなしっかりしたパフォーマンスをしてくれていて、勝ち点につながらないのは私の責任です。そこを結びつけられるようにさまざまな課題に選手と向き合ってやっていきたい」と、次節ヴァンフォーレ甲府とのホームゲームで狙う初勝利へと目標を切り替えていた。

写真◎J.LEAGUE