上写真＝イッペイ・シノヅカは古巣相手に移籍後初ゴール！「第2の母国であるロシアが戦争を始めて、政治的な理由があるにしろやってはいけないこと」と自分の言葉で語った（写真◎J.LEAGUE）
■2022年2月26日 J2リーグ第2節（NACK/7,174人）
大宮アルディージャ 2-2 アルビレックス新潟
得点者：（大）河田篤秀2
（新）高木善朗、イッペイ・シノヅカ
「絶対に決めなきゃと」
渾身のヘディングシュートだ。左から本間至恩が狙い済ませて送ったクロスにジャンプ一番、イッペイ・シノヅカが頭でたたいてゴールに送り込んでみせた。
2点を先行される苦しい展開。だが、68分に高木善朗が1点を返して、なおも新潟が攻め立てる。その3分後。一気呵成に同点にしてみせた。
「至恩には試合の前から、クロスを待ってるから頼むぞ、と言っていたんです。チャンスを作ってくれると信じていて、前半から何回も入っていきましたし、いいボールが来て絶対に決めなきゃと」
お互いのイメージがぴたりと合った納得の同点弾。
「至恩にはありがとうと言いました」
ただ、試合そのものは難しかった。キックオフから大宮のプレスに後手を踏み、リズムをつかむ前にまんまとはめられて先制された。
「自分たちにやってはいけないミスが続いて、序盤は割り切ることも必要だと痛感しました」
最後尾からビルドアップすることも重要だが、そこで引っかけられて失点に直結したことで、ビハインドからの立ち上がりになった。それでも、20分ごろから主導権を握るようになった。相手の体力が落ちたこともあるが、きっかけの一つは、右ウイングとしてのシノヅカのふるまいにありそうだ。
「これまでとはポジションが変わりましたが、リキさん（松橋監督）が求めていることは最終的には勝つことで、細かいディテールは求められていないんです」
だからこそ、「ベースはあるので、選手一人ひとりが試合の中で自分たちで考えながらやらなければならない」と自覚する。タッチライン側に開くのではなく、内側にポジションを取ることで対面のサイドバックの小野雅史を引き連れて外を空け、長谷川巧がオーバーラップするスペースを作ってペースを取り戻したのは、「考えながら」の一つだろう。
もう一つ、求められているのはゴールだ。この日は2019年と20年に所属した大宮に対して「恩返し弾」を決めることができたが、23分の絶好機にはGK南雄太のビッグセーブでかき出されるなど、ほかのチャンスはふいにしている。
「最後には、僕の役割はゴールを決めることです。サイドで生きなかった時間も多かったけれど、ワンタッチゴールでもいいから決められればいい」
まずは移籍後2試合目で新潟初ゴールを決めて、勝ち点1をもたらした。本間との関係も「イメージは共有できている。大切にしていきたい」と好感触。ますます期待が持てそうだ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE